6月の花嫁
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「―――――ん」

「ああ、起きた?」


10代目に揺すられて。オレは起きる。

目が覚めると。そこは小さな教会で。


「最初から。こうなることは予想ついていたしね。初めからこっちが本命」


10代目はしてやったりって顔をして。その顔がまるで10年前みたいに幼かったから。オレも思わず笑ってしまった。


「―――さて」


ここもやがて見つかってしまうだろうから、手早く済まそうと。10代目はオレと二人、祭壇で向かい合う。

10代目は、少し照れたような顔をして。でもいきなり真面目な顔になって。


「――オレは、健やかなる時も。病める時も獄寺くんを愛し、獄寺くんを敬い、獄寺くんを慰め、獄寺くんを助け、この命の限り、尽くすことを、今ここに誓います」


…10代目。

この日の為に覚えてきたんだよなんて、そんな事を言われて。オレの顔はかあぁっと。思わず熱くなる。きっとゆでだこ状態だ。


「―――獄寺くんは?」


10代目の声に、はっと我に返る。そして誓う。


「は、はいっオレも誓います!健やかなる時も、病める時も。オレは10代目を愛し、10代目を敬い、10代目を慰め、10代目を助け、命ある限り尽くすことを、誓います!!」


オレがそう誓うと、10代目は少し困ったように笑っていた。


「…10代目じゃなくて。オレの名前で言って欲しかったな」

「あ、す、すみませんっ」


言い直そうとするオレに、10代目は手で制して。


「ん。良い良い。…いつか、オレは獄寺くんに名前を呼び捨てにして呼んでもらうから」


そんな日が来るのは分からないが、少なくとも10代目は本気のようで。

それよりもと。10代目は懐から今度は小さなリングを取り出した。


「…受け取ってもらえる?」

「は、はい…」


10代目は銀色に光るそれをオレの薬指に填めていく。ぴったりだった。


「あ、でも…10代目のリングが……」


オレが申し訳なさそうにそう言うと、10代目は笑って。


「大丈夫。それも用意済み…獄寺くんのリング一つ貰っちゃったけど、良い?」


そう言って10代目が取り出したのは、オレが愛用しているもので。


「は、はい。10代目の元へ行くのなら…そいつも満足だと思います」

「じゃあ、填めて?」

「はい…」


オレは10代目に、そのリングを填めていく。こちらもぴったりだった。

これで。契約完了。

オレがその儀式の終了に張っていた気を緩めると、10代目にいきなり抱き寄せられて。


「…大好きだよ。獄寺くん」


そう耳元で言われて。―――キスされた。


―――この日。


ボンゴレファミリー10代目、沢田綱吉さんと、その右腕であるオレは。

…小さな教会で、二人っきりで―――

晴れて、夫婦と。なった。


―――後日。


オレと10代目の結婚騒動は控え室が謎の爆発を起こした事でうやむやになったとされていたが、

オレと10代目の左手の薬指にあるリングにより、結局行われたことがばれて。

そのばれた数日後。



「……ん、ぅ」



「さぁー、先日ご結婚された獄寺さんが目を覚ましましたー!!これより、『ボンゴリアンファミリー花嫁総奪戦!貴方は人妻に萌えますか?』を開催いたします!!」


また司会はお前か。ハル。


あと観客。「人妻萌えー」って言うな。ていうか何だ萌えって。


「くっくっく。一筋縄じゃ行かないって、覚悟はしていたよ。でも。勝つのはオレだけどね」

「…ここに彼を奪う公平なチャンスを与えてくれたことに、感謝するよ」

「獄寺ー!オレ獄寺のために頑張るからなー!!」


あー、うん、皆適当に頑張ってくれ。


「ちなみにこれは、途中参加も大歓迎です!皆様のご参加もお待ちしております!!」


観客を煽るな!ハル!!


…などと。そんなことになるのだが。

今だけは、知らないままでいさせて下さい。


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いや、まあ、現実逃避と言われればそれまでなんですけど。