はじめて、しましょ★ - 雲雀編 -
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そんなことを話しているうちに時間はお昼となり、夕方となり。帰る時間となる。
「ハヤト。今日の反省点だが」
「はははははははい!」
あわあわがくがくと震えながらハヤトは返事して。…本日の彼による彼女いびりが始まる。
いや、いびりというのは少し違うか。正確には指導。ちょっと厳しいけど的確だし。…彼女には辛そうだけど。
でも、運転手の僕としてはそれに干渉出来ない。僕はただ与えられた役割を果たすだけ。
………と。
「ちょっと遠回りしてから帰るよ」
断りを入れてからアクセルを強く踏む。リボーンがハヤトを躾けるのを止めて聞いてくる。
「あれか?」
…誰も彼もあれを人扱いしない所に感動だね。まぁ僕もだけど。
「そう。まったく、しつこいよね」
「???」
彼女は気付いていないみたいだけど。…はぁ。
「―――いい。雲雀、ここでオレを降ろせ。オレが片を付けてくる」
「ああそう。じゃあお願い。あまり社会問題にならない程度にね」
「ああ」
きゅっと止まって彼を降ろして。そしてまた走り出す車。
まぁ彼なら大丈夫だろう。これでストーカーに悩まされる日々とも終止符が打たれたと。
…なんで本人じゃなくて僕が悩んでいるのかはさておいて。
とにかくリボーンが出るというのなら遠回りせずとも大丈夫だろう。ルートを通常通りに戻すことにする。
数十分程車を走らせて。会社の寮へと到着する。車を降りてドアを開けてハヤトが出てきて…
前へ出ようとしたハヤトの細い手首を掴んで。グイッと引っ張って僕の後ろへと追いやる。
「え…?ひば、りさ…?」
彼女が困惑しているのが分かる。が、それに構っている暇はなかった。…お客さんだ。
「ワオ…まさかあのリボーンの手を掻い潜ってくるとは思わなかったよ」
「ハヤトへの愛は岩をも通す」
何真顔で意味不明なこと言ってるんだろうね。
「何でもいいけど。キミがやっていることは自覚はないかもしれないけどストーカー。犯罪行為だ。直ちに行動を改めなさい」
といってもストーカーにそんなこと言って通じた試しは一度たりともないのだけれど。
「あぁ?お前一体なんの権限があってんなこと言うんだよ。お前はハヤトのなんなんだ」
ハヤトの…なに?
「そんなの決まっているじゃない」
僕はハヤトを引き寄せて。その肩を抱いて。
「僕はハヤトの保護者だよ」
ストーカーが目を見張る。…僕の言葉よりも僕がハヤトの肩を抱いた方に注目している気がしないでもない。
「…まぁ、こちらの関係よりもむしろお前がハヤトの何なんだという感じだがな」
気が付くと僕達の後ろからリボーンが歩いてきていた。
「任せて損した。キミが得物を仕損じるだなんて珍しいじゃない」
「一般人だと思って油断した。こいつの運動能力は馬鹿にならん」
リボーンがここまで言うのは珍しい。つまりそれほどなのだろう。
「…チッ」
僕達が話している隙を突いてストーカーが逃げ出す。まぁ多勢に無勢な状態だったから無理もないだろう。
「―――これで消えてくれるとありがたいんだけどね」
「そうだな…」
「???」
一人状況がよく分かっていないハヤトを置いて、取り合えず今日の所はこれで落ち着いた。
しかしこの後日、ハヤトの個人ファンクラブが結成されて。しかも入信者があとを絶たない状態となる事態が発生してしまう。
これだけだったら特になんの問題もないのだが…そのリーダー。自称『ハヤト親衛隊長』が今日のこのストーカーで頭を抱えそうになるのは少しだけ未来の話。
ついでにその肩書きを利用して。何かあるたびにスタジオへとやってきては警備員に突き出されるのも少しだけ未来の話。
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