はじめて、しましょ★ - 骸編 -
12ページ/全40ページ


ハヤトがアイドルとして世に降臨してから、早くも数ヶ月が経過していた。

元より容姿の可愛さ。それに天然、癒し系、守って下さいオーラ、意外に博学でピアノが弾けるというギャップ。

その他諸々が受け、ハヤトの人気は瞬く間に飛躍し。今や数冊の雑誌の表紙を飾るほどにまでになっていた。


「どう?自分の顔が本になって売られていく様子は」

「あ、あぅ、その…恥ずかしい…です」


己の容姿に未だ自信を持てないでいるハヤト。沢田社長は苦笑しながら雑誌を開く。


「ほら。今週号凄いよ?ハヤトだけが数ページも陣取っている。このインタビュー内容は先週受けたものだよね?」

「あ、はいそうです!社長とのインタビューのですね!!ハヤトのためにわざわざお時間を取って下さってありがとうございます!!」

「いいんだよハヤト。オレも楽しかったし」


にこやかな笑みを浮かべる沢田社長にはわはわと楽しそうなハヤト。

緩やかな時間が流れていた。そこに雲雀もやってきて。


「楽しそうだね。なんの話?」

「あ、雲雀さん!えと…この前の取材の時の話です」


おずおずとハヤトは雲雀にその雑誌を差し出す。…自分の姿が移っているのが恥ずかしいのか、背表紙を向けて。


「へぇ…綺麗に写っているじゃない。ハヤト頑張ってるね」


ご褒美とばかりに雲雀はハヤトの頭を撫でる。ハヤトは頬を紅潮させながらもやはり嬉しそうで。


「……………はぅ」

「あ、何それ可愛いー!なにハヤト頭撫でられるの好きなの!?」


沢田社長はまるで新しいおもちゃを見つけたかのような顔で聞いてきて。そしてそのままハヤトを雲雀から取り上げて撫で始めた。


「はぅ!?社長!?」


ハヤトがいきなりのことで驚いている。しかしまたぽやーっと目がまどろんで。

雲雀はそれを見て穏やかに笑いながら。ハヤトが差し出してくれた雑誌を捲る。

そこにはハヤトが可愛らしい衣装を身に纏って笑っていた。インタビュー内容も写真に邪魔にならない程度に並んでいる。

雲雀がそれをなんとなしに読んでいると。


「………?」


雲雀の目がある一点で止まる。じっと、そこのページを見ている。

その間も沢田社長はハヤトを撫で続けている。コツを掴んだのかその手付きはまるで猫を撫でるかのように。

ハヤトはすっかりその手の虜になってしまったかのようにぽーっとしている。


「ふふふ…可愛いよハヤト。もっとしてほしい?」

「あ…はい、その…もっと…お願いします…」

「いい子だねハヤト。正直な子は好きだよ…」

「ぁ、は、はぅ…」

「はいそこえろい会話はおしまいにしなさい。取り合えずなにコレ」


雲雀が無理矢理二人を引き離して。雑誌のあるページを突きつける。そこには白のワンピースを着てにぱっと笑っているハヤトの姿。


「可愛いでしょ」

「確かに可愛いよ。でも僕が言ってるのはこのプロフィールについてなんだけど」


雲雀の言うとおり確かにそのページにはハヤトの誕生日、血液型、星座などが書かれていた。


「何か不審な点でも?その内容に誤植はないはずだけど」

「それはそれで問題なんだけどね…この十三行目のは何!ハヤトこれに答えたの!?」


雲雀の言う十三行目に書かれている文…そこには三つの数字が並んでいた。

それは俗に言う三サイズというもので。そこにはまぁ平均値の出しやすそうな数値が並んでいた。


「はぇ…?ハヤト知らないですよ?あ、ハヤトの好きなものがお姉ちゃんになってます!」

「あれ?違ってた?」

「大当たりです!なんで分かったですか!?」

「いやハヤト。突っ込む所そこじゃないから。ハヤトが知らないということはこれ答えたの社長だね…まったく、一体なに考えてるのか」


やれやれと雲雀。しかし沢田社長は変わらず笑ったまま


「まぁオレの手にかかれば三サイズだなんて計らずも分かるよ。調子がよければ人の気持ちだって読めるしね」

「す、凄いです社長!!」


得意気に自慢する沢田社長と本気で感動しているハヤト。そしてため息を吐く雲雀。


「あれ?信じてない雲雀?…じゃあ証拠を見せてあげるよ。えーっと…」


沢田社長はどれにしようかなと辺りを見渡す。暫し視線を泳がせたあとハヤトに辿り着いた。


「んー…そうだね。じゃあハヤトにしようか」

「はい?」