はじめて、しましょ★ - 骸編 -
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「ハヤト、よく聞いて?確かにそれはあくまで役で、実際にするわけじゃない。それはあくまで仕事で、恥ずかしいことでもない。だけどね…やっぱりまだハヤトには早いと僕は思う」

「オレも同意見だね。キミはまだ幼い。…ね。考え直そう?」

「お二人とも…ありがとうございます。でも、ハヤトはお二人の…この会社の為に頑張りたいんです!」

「ハヤト…」


ハヤトの必死の決意に、その想いに少し感動が沸き起こる。そこまで言うなら…と喉元まで出てきたそのとき。


「ところで、べっどしーんって何なんですか?」

「「―――――」」


思わず言葉を失う二人。そしてそれも一瞬で立ち直って。


「綱吉さっさと出る!早く!一刻でも早く話付けてきて!!」

「分かってる分かってるって!ああもう車のキーどこやったかな…もうタクシーでいいや!!」

「え、え、え、え?あの?あのあの?」


戸惑うハヤトをまるで見えていないのかのように振舞う沢田社長と雲雀。今ハヤトに構うわけにはいかない。


「え、あ、あの?べっどしーんて、その…?」

「ええい、ベッドシーンベッドシーン言わない!はしたない!!」

「えぇ!?」


ああ、無知とは罪なのか。いやそんなはずはない。知るための努力をしないことが罪なのだ。

しかしこんな年端もいかない女の子にどう説明すればいいのか。あまりショックも与えたくないし。

誰か助けて。二人がそう神に念じた時だった。神の見計らいか、それともただの偶然なのか社長室に第三者が訪れる。


「ツナ。お前宛に電話が…って、なんだ賑やかだな」

「あ、リボーンさん」


ハヤトの意識がリボーンに向いたとき。二人はチャンスとばかりに厄介事をリボーンへと押し付けることにした。


「あ、リボーンオレ今からちょっと出てくるから!夕方には戻る!!」

「あ?だからお前に電話が…」

「ああそれなら僕が取るから!二番?じゃあちょっと静かな所まで行って来るから!!―――ハヤト、さっきの質問はリボーンにしなよ。きっと答えてくれるから」


慌しく二人は出て行き。残るはハヤトとリボーンのみ。


「なんなんだ…?一体」

「あ、あの、あのリボーンさん!」

「ん?なんだ」


ハヤトは雲雀が部屋を出る合間に言ったことを忠実に従うことにした。すなわち。


「あの…―――べっどしーんって、なんですか!?」

「………」


その台詞には流石のリボーンも言葉を失う。古い付き合いである沢田社長がいたならば初めて驚いた顔を見たとからかったところだろう。

リボーンの目に社長の机に置きっぱなしの本の開かれた一ページが入って。それでなんとなしに察する。ああ、なるほどと。

視線を下げてハヤトを見ると彼女は今か今かと質問の答えを待っている。その瞳には無垢しか存在していない。

はぁーっと、リボーンは大きなため息を吐いて。屈んで、目線をハヤトに合わせて。


「……………いいかハヤト。ベッドシーンというのは―――――」


…それは丁度沢田社長がタクシーを拾った時。それは丁度雲雀が電話対応に一息入れた時で。



「――――――――――!?」



二人の耳に、声に鳴らないほどの叫び声が聞こえたような気がした。


(ああ、リボーン…)

(本当ごめん。でも僕には無理だよ…!)


そんなリボーンの犠牲の甲斐あってか、何とかドラマのベッドシーンは削れてくれた。