はじめて、しましょ★ - 自覚編 -
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そうしてドラマ現場に行って、泊り込みの撮影が始まってから数日経ったある日のこと。

リボーンがその音を聞いたのは、ハヤトの撮影が終わって彼女が部屋に戻って暫くしてからのことだった。

時間はそろそろ九時になって。お子様体質なハヤトのこと、そろそろ眠る頃合だろうに何かが落ちるような音がして。


「………?」


不審に思ったリボーンは様子を見てみることにした。まさかもう寝ていて、そして寝惚けてベッドから転げ落ちたのではあるまいな。

リボーンはすぐ傍に配置されていたハヤトの部屋まで赴いて扉をノックする。中から「はい」というハヤトの声。開けるとそこにはベッドの前で座り込んでるハヤト。


「…え、あ!?リリリ、リボーンさん!?」

「どうしたハヤト。なんか物音がしたから来てみたんだが」

「あ、いえその…ベッドから落ちちゃって…」


その台詞を聞いてリボーンはため息。なんだ本当にもう寝ていたのかと。


「そんなに疲れていたのか…そうなるまで無理しなくてもいいぞ」

「え…?そんなに疲れてないですよ?」

「?寝ていたんじゃないのか?」

「??寝てないですよ?」


どこかで食い違いが発生しているようで。リボーンはなら何をやっていたんだとハヤトに問いた。


「えと…実はでんぐり返りをしていたんですけど、勢い余っちゃって…」

「は?」


でんぐり返り。あの小学校低学年の子供達が体育の授業等でやっているマット運動のひとつだろうか。あの頭から転がる奴。


「何故」


本当に意味が分からずリボーンは更に問う。ハヤトはしまったとばかりに慌てふためいた。


「えあ!?な、なななななんでもないんですよ!?そうです!なんでもないんです!!」

「何慌ててるんだ。やましいことでもあるのか?」


違うんです違うんですとハヤトは更に首を振って。リボーンは机の上に置いてあったあるものを目の端に捕らえて。


「…牛乳瓶?そういえばお前、朝も飲んでいたな」

「はわ!?あ、片付け忘れ…じゃなくて、そんなもの見ないで下さいよー!!」


突っ込み所の多さにリボーンは頭を抱えそうになる。暫しどうしようかと考えて…


「…分かった分かった。分かったか早く寝ろ。明日も早いぞ」

「あ、はい…」


リボーンはそう言って部屋を出ようとして…ドアの所で立ち止まって。振り返った。


「それとなハヤト。牛乳を飲むのは別に構わんが少し量を減らせ。流石に多すぎだ」

「は…え……」


パタン。リボーンはそれだけ言うと本当に部屋を立ち去って。

一人残されたハヤトは、はぅーとため息を吐いて。牛乳瓶を片付けてから眠りに付いた。

そして次の日から、ハヤトの牛乳摂取量が極端に減少した。