はじめて、しましょ★ - 自覚編 -
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何もされてないも何も目を瞑っていたので確信を持っては言えないが、多分されてないだろう。…と思う。

そういえば山本さんはどうなったのだろう。そう思ってハヤトは部屋を見渡すと…


「雲雀さん?」


そこには山本をトンファーで床に縫い付けている雲雀の姿があった。


「やぁハヤト。近くまで来たから寄ってみたよ」

「あ、ありがとうございます」


とりわけ何もされてなさそうなハヤトを前に雲雀は安心したように微笑んで。よかったと安堵のため息を吐いた。


「びっくりしたよ。ハヤトに電話したら山本が近くにいるみたいなこと言ったんだもの。急いで来て正解だったみたいだね」


ちなみにリボーンとはロビーで会ってそのまま引っ張ってきたんだと誇らしげに言った。

ハヤトはリボーンを見る。

いつも完璧なこの人が、雲雀さんに引っ張られる?

想像が付かない。


「…それはどうでもいいことだろう。で、そいつはハヤトに何をしようとしていたんだ?」

「そうだね。それは僕も気になるね」

「え…っと」


山本は冷や汗を掻きながら。


「ハヤトがさ、胸が小さいって悩んでいたからさ。揉んででかくしてやろうかと」


バキィ!!!


クリーンヒット。リボーンが呟く。その向こうでは雲雀が「ハヤトの前では下ネタ厳禁!」とか叫んでいた。


「え、も…で…って、えぇ!?」

「どうやら危ない所だったようだな。…というかそうか。お前そんなことを気にしていたのか」

「あ、あぅ…」


そんなこと。そう言われたハヤトはちょっとショックで。

確かに、誰にとってもくだらないことかもしれない。

でも…それでも、ずっとずっと前から気にしていたことで、悩んでて…


「女ってのは胸じゃねーぞ。ハヤト」

「…え?」


「そんな周りの下らない価値感に振り回されるな」


なんだか今までの拘りが溶けていくような感覚でした。何故でしょう。ただ彼に言われただけなのに。


「…はい。ハヤトが間違ってましたです。…リボーンさん」

「ああ。…まったく、さては牛乳もバストアップの一環か。ん?じゃあでんぐり返りもか?」


しかしでんぐり返りとバストアップの繋がりが見えない。まぁそんなに詳しいわけでもないのだが。


「あ、はい。実は…」

「わたしが教えたの」


声が聞こえた。高くて美しい声。ハヤトがぴくんと反応する。リボーンも振り向いてその姿を確認する。


「はぁい。ハヤト」

「お姉ちゃん!!」


ハヤトはリボーンの胸の中から抜け出して。お姉ちゃん…現トップモデルことビアンキに抱き付いた。


「お姉ちゃん、お姉ちゃん、おねーちゃん!!!」

「あらあら。ハヤトったら相変わらず甘えん坊なのね」


ああ美しき姉妹の抱擁。二人は暫しきゃあきゃあと抱き付き合って。けれど不意にハヤトは正気に返って。


「…そういえばお姉ちゃん?なんでここにいるの?」

「ふふ。ハヤトを驚かそうと思ってやってきたのよ」


どうやらこのトップモデルは本当にたったそれだけの理由でここまで来たようだ。いいのだろうか。


「あ。いけないわわたしったら。…ご挨拶が遅れまして。わたくしハヤトの姉でビアンキと申します。いつも妹がお世話になってますわ」


言って。ビアンキはリボーンの顔をじっと見つめる。流石のリボーンも少々怯んで。


「…何か?」

「―――いいえ。何でもございませんわ…ハヤトをよろしくお願いします」

「………?」


その言葉全ての意味を汲み取れなかったリボーンだが、頷いておいた。


「…で、ハヤト。結局誰に言われてバストアップを図ったんだ?」

「えと…この間のテレビでご一緒になった「トマゾ」っていうグループのリーダーのロンシャンさんって人に…」


「へー!キミが獄ちゃん!?やっぱり実際で見たほうが可愛いね!それにしても…獄ちゃんて胸ないよね!!」


「って…」

「…分かった。潰しておく」

「へ!?」


…その後実際にお笑いグループ「トマゾ」が潰れたのかどうかは、秘密。