はじめて、しましょ★ - 沢田編 -
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どこに行くのだろうと一緒に着いて回れば、社長とて特にどこに行くかなんて決めてなかったらしく共にあちこちを回って。

例えば、アーケード内のショッピングセンターでウィンドウショッピング。

社長はハヤトに欲しいものはない?と聞くがハヤトは首を横に振るばかり。頑ななハヤトに社長は苦笑。

しかしそれも仕方なくて。

少し前、社長がハヤトに「なんでも一つ欲しいものが手に入るとしたら?」と聞いてきて。

それにハヤトは少し恥ずかしそうにしながら、


「…街中に飾ってあるクリスマスツリーがあるじゃないですか。あれの天辺のお星さまがずっと前から欲しくて」


何て言ってから数日。ハヤトの所に本当にお星さまがやってきた。

目を丸くするハヤトに社長はただ一言。


「最近頑張ってたから、そのご褒美」


なんていとも簡単に言ってきて。しかも社長は「簡単なもので拍子抜けしちゃったから次はもっとランクの高いものをリクエストしてね」とか…

恐れ多くてそれ以降例え冗談でも社長には「あれが欲しい」なんて言えないハヤトなのであった。

それは今日まで尾を引いているらしくて。社長はそんなこともあったと思い出してはまた苦笑していた。


「そんな遠慮しなくていいのに」

「そんなの無理ですって。社長と買い物なんて出来ません」

「なんで?」


本当に不思議そうに言ってくる社長にハヤトは少し考えて。


「例えば…ハヤトが、あのお店のお人形が欲しいです、って言ったらどうします?」

「店ごと買ってあげるよ」

「駄目ですー!!!」


基本的に価値感の違う社長であった。

アーケードを抜けて、そこに飛び込んできたのは映画館。


「丁度いい。見て行かない?ハヤト」

「何の映画なんですか?」

「さぁ…でもきっと。面白いよ」


そう社長に促されて、ハヤトは映画館へと入っていった。

客は上々。ざわざわと静かに騒いでいて、上映時刻を今か今かと待っている。

ハヤトは暗いのが苦手なのでぎゅっと隣に座っている社長の服の袖を握って。それに気付いた社長は「大丈夫だよ」って笑ってハヤトの頭を撫でてくれた。

ハヤトがその手の感覚にぽーっとなってきた頃。映画開始を告げるブザーが鳴ってハヤトはゆるりと視線をスクリーンへと向ける。

幕が割れて、画面に映像が映りだされる。

ホラーモノだった。

客席にハヤトの悲鳴が響き渡った。