はじめて、しましょ★ - ハヤト編 -
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ハヤトは走っていた。

その速度は決して速くはないが、それでも何かを一生懸命振り切るように。

そんなハヤトを追い掛けるものは―――ない。

なのにハヤトは走っていた。必死に。懸命に。

まるで、なにかから逃げるように。


夕方の公園で影が一つとなって。ハヤトの目は見開かれていた。

触れるだけのキス。しかしそれはハヤトにとって充分に刺激的で。…触れられている部分が、熱い。

やがて、社長の舌がハヤトの唇をちろりと舐めて…ハヤトは正気を取り戻した。


「ん………っゃ、」


思いっきり社長を押し出して。何とか社長の身体から追い出る。知らずハヤトの瞳から涙が零れていた。

社長と距離を取ったあと、ハヤトは思わずかぶりを振って走り出した。そのまま振り向かず消え去って…社長はそのさまをずっと見ていた。


「…ふふふ。ほら、キミがいつまで経っても手を出さないからオレがつば付けちゃったじゃない?」


社長はくすりと黒く笑いながら…ずっとハヤトが走っていった方向を見ていた。


「キミがどう動こうとも勝手だけど…オレだって。彼女を譲る気はないんだからね…?リボーン」