はじめて、しましょ★ - ハヤト編 -
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社長がそんなことを言っている間もハヤトは走り続ける。早くも息が上がっているが、それでも足は止まらない。
―――ハヤトは、自分が情けなかった。
いきなりキスされるだなんて、悲しくて…悔しくて。
自分には、そう。………想い人がいるのに。
沢田社長から離れたとき、そして涙が頬を伝っていると言うことに気付いたとき。彼女の心に浮かんでいたのは…リボーンだった。
「リボーン…さんっ」
彼にはこの想いは違うと。勘違いだと言われたけれど…そんなはずはない。
こんなにも切ない想いが恋心でなくて一体なんだというのか。確かに自分はこれが初恋だけれどでもそれでも。
「リボーンさん、リボーンさん、―――リボーン、さん…っ」
逢いたかった。あの人に。
いつも無表情で、厳しくて。でも…頑張った日には頭を撫でてくれて。
あの人がいると、ふわっと世界が変わる。
心がステップを踏んでる感じ。胸の奥がじんわりと暖かく。ほんわかに。
この事を姉に相談して。そうしたらそれは恋だよって。
それは考えても見なかったこと。それは思いも付かなかったこと。だけど気付けたこと。
気付いてからは彼と会うのがなんだか恥ずかしくって。いつも以上にミスの連発。
…あの日の晩だって。そう。
恋だと聞いてから胸のどきどきが治まらなくて。眠れなくて。
そうして、そうだと思い立った。
そうだ、お菓子を作ろう。
この間お姉ちゃんが作っていたクッキー。あれを作って、リボーンさんに食べてもらおう。
レシピはお姉ちゃんに書いてもらって。材料は雲雀さんに頼んで。
急に贈っても驚かないかな。でも大丈夫だよね。いつもお世話になってるお礼って言えばきっと。
…でも。そうしてお菓子を作っているうちにリボーンさんが、きて。触れられて、距離が近付いて…
気付いた時には、感情は爆発していた。
そして…そして。
ハヤトの脳裏に昨日の晩から先ほどのことまでが高速で再生される。そしてまた涙。
「ぅ、ぐ、………リボーン、さん…!!」
涙で周りが見えなくなったのか、どんと誰かにぶつかって。ようやくハヤトは足を止めた。
「あ、ご、ごめんなさ…っ」
「別に構わん」
上から降ってきたのは、聞き覚えのある声。はっとハヤトは目を見開く。
「え………」
見上げるとそこには…そう、ずっと名前を呼んでいた。ずっと逢いたいと思っていたリボーンその人。
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