はじめて、しましょ★ - ハヤト編 -
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「落ち着いたか?」

「は、ぁ、はい…」


地震が静まって、それから暫く経って。ハヤトの震えが治まった頃。リボーンは静かに聞いてきた。


「も、だい、じょうぶです…あはは、みっともない所見せちゃって…その……」


ハヤトは自分から離れようとするが声は涙声で。それは無理をしていることがばればれで。


「無理しなくていい」


言ってリボーンはハヤトを引き寄せて…ぎゅっと。また抱き締めて。


「いえ、あの、本当、だ、大丈夫なんです。リボーンさんにお手数をお掛けするには…」

「いいから」

「は、はぅ」


なんだか、何かが違う気がする。いつもと何かが。…雰囲気?いつもよりもなんだか柔らかい気がして。…でも、何故?


「苦手なのか?」


上空からリボーンが問い掛けてくる。ハヤトはちょっと赤くなりながら。


「は、はい…あは、は…ずっと昔――…五年?いえ、もう七年ですね…それぐらい昔に、初めて地震を体験して」


ぽつりぽつりと体験を話すハヤト。そしてそれにリボーンは何か引っかかるものを感じる。はて。なんだろうこれは。

七年前。………ああ、確かに地震があった。それは少し大きなもので。その地震があったとき、自分は…そう、確か…

と、ハヤトの視界にリボーンの手が写る。左手の手の甲。…赤い線が走っていた。

はっと、ハヤトは思い出す。さっきの地震で自分は取り乱して、何かを引っかいたのではなかったっけ…?


「あわ、あわわわわわわわ。すみませんです、ごめんなさいリボーンさん!」

「ん?…ああ、別に構わん。気にするな」


しかしそういわれても無理というもの。ハヤトはポケットからハンカチを取り出して。リボーンの手に巻きつけて。

…そのハンカチに、リボーンは見覚えがあった。けれどそれは、遠い昔になくしたはずで。


「ハヤト。―――これは?」

「え?あ…あは、これは…お守りなんです」

「お守り?」

「はい。…ハヤト、地震にあったとき倉庫にいて…道具が落ちてきて閉じ込められちゃって…そのとき出たくて。どんどんって道具を叩いたんです」


でも出れなくて。怖くて。また叩いて。そうしていたら皮が破けて。痛くて。怖くて。


「それから暫くして、誰かがハヤトを助けてくれたんです。…このハンカチは、その人が巻いてくれたんです」


ハヤトの夢はいつかその人に会って、そしてこのハンカチを返すことなんですよとハヤトは微笑みながら言った。

けれどリボーンの頭にはそんなハヤトの言葉もろくに入ってきてなくて。ぱちぱちとピースがはまっていくような感覚を味わっていた。

七年前。少し大きな地震。小学校低学年の女の子。道具置き場の倉庫。怪我をした手。泣きじゃくる声。―――そしてなくしたはずの、ハンカチ。


「―――あれはお前だったのか」

「はい?」


…まぁ、そんなこんなで。

ハヤトの幼き頃からの願いは本人が気付かぬまま叶いましたとさ。