後日談
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その日。


医務室にひとりの重症人が運ばれてきた。

彼は医師の必死の治療の末にどうにか…峠を越えることが出来た。

暫くは安静が必要だが、時と共に傷も癒え。前と同じ暮らしに戻れるだろう。


けれどそれは。果たして彼の為になるのか。


医師は悩む。けれど彼の仕事は命を救うことだ。生者を生かすことだ。

それでも…そうだと分かっていてなお。医師は思い詰めずにはいられない。


あいつはあのまま死んでしまった方が、良かったんじゃないのかと。


医師は隣の部屋に視線を向ける。

その部屋の中では、まだ10代になったばかりの若い少年が横たわっていた。

それはその昔。自分が取り上げて…すっかり大きくなった。ひとりのヒットマン。


彼は銃弾の嵐から、恋人を庇って死んでいた。


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強い彼は弱い彼を守って死に至る。