後日談
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彼は退院して間も無く…アジトに復帰した。
傷は癒え切ってないのに。大丈夫だと言い張って。
大丈夫な訳が無い。
特に、心が。
大事で大切な恋人と死に別れてしまったのだから。
大丈夫なはずが無い。
だというのに彼は…いや、だからこそだろうか。仕事に没頭した。
少しでも時間があると…彼を思い出すから。だから寝る間も惜しむほど仕事をしているのだろうか。
彼は退院してから、眠っていない。
少なくとも、僕はそうは思っている。
僕の認識では、意識がなくなって倒れるということは睡眠に入らない。
僕が見てる限り…彼は仕事をしているか倒れているかのどちらしかない。口数も減ってしまった。
…どうにかしてあげたい。と思う。
これ以上ないほど危なっかしい彼の。せめて寄り掛かりになりたいと思う。
僕じゃなくても、あの綱吉でも医師でも…彼が少しでも回復するというのなら僕は協力したい。
…ああ、でも。あいつは別だけど。
他の誰でも彼が元気になると言うのなら僕は協力を惜しまないけれど。
あいつだけは、別だけど。
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あいつだけは許せない。
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