後日談
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「なぁ、骸」


獄寺は笑顔のまま言葉を放つ。

…その眼は。決して笑ってはいなかったが。


「あまり。リボーンさんを汚すな」


殺したくなるだろう。と事も無げに言ってみせる。

「おやおや…」

一方、撃たれた骸は困ったように笑っている。

銃弾は真っ直ぐに骸へと撃たれていたが…骸は咄嗟に身をかわして。腕の負傷だけで終わらせていた。

「僕って幻覚のエキスパートなんですけどね。いくら死者を騙ったとはいえこうもすぐばれると悲しいものがあるんですけど」

「お前の都合なんて知らない。それにお前…リボーンさんのこと嫌いだろう。そんな奴の作った幻なんて。誰でも分かる」

そう言うと獄寺は銃を懐に直して。席を立つ。また仕事に戻るつもりなのだろう。

獄寺はふらつきながらも立ち上がる。瞳からは生気が消えかけていて。…今にも倒れそうだった。


「隼人」


止めようと雲雀が立ち塞がる。元はといえば、雲雀は獄寺を休ませに来たのだ。

しかし獄寺は雲雀を邪魔そうに睨むだけだ。その顔色は果てしなく悪い。誰がどう見ても安静が必要だった。

「休んで」

「やだ」

応えは拒絶だった。獄寺の後ろで骸がくつくつと笑っている。

ザマァミロ。…そう言っているように見えた。

「キミ…もう何日も何日も働き詰めじゃない。休まないと、身体に毒だよ」


「お前には関係ない」


取り付く島もなかった。

冷たい口調で言い放ったあと、獄寺は無理矢理にでも雲雀を通り抜けようとしてくる。

思わず手を伸ばして、雲雀は獄寺の肩を掴んだ。

以前戯れで触れたときより、更に華奢になっていた。

それに驚き、思わず手を離す。獄寺は好機とばかりに振り向かずに歩いてく。

「…隼人」

獄寺は振り向かない。

そのまま立ち去ろうとしている後姿に、構わず雲雀は言葉を続ける。


「あまり。無理しちゃ駄目だよ」


ぴたり。獄寺の動きが止まった。

そして…首だけ振り返って。雲雀を見る。

その瞳は淋しそうに。けれど何かを思い出しているように微笑んでいた。

けれどその口から出てきた言葉は。


「大きなお世話だ」


なんて。そんな。辛辣なお言葉。


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お前に言われても嬉しくない。