彼が警察官になるまで
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獄寺は混乱していた。銃弾がかすめた鼻先が痛い。

この二人は?警察?何故ここに?待ち伏せていた?資料を見て?特徴を捉えた?そんなことが可能なのか?しかし現に―――

獄寺の混乱は止まらない。しかし二人は待ってはくれない。


「…キミ?」

「は、はい…すいません…盗んだものはお返しします……」

「そう身構えなくってもいいよ。オレはキミと話をしたいだけだから。…獄寺くんって呼んでいい?」

「はい…」

「ありがとう。…じゃあ獄寺くん。キミは何故窃盗をしたの?」

「…金が必要で……」

「早急に?何故」

「家族が病気になって…薬代が必要で…」

「なるほど。初犯はそれで分かった。でもキミはその後も繰り返し窃盗を繰り返してる。それは?」

「食べ物や…冬を越すための毛布…他にも勉強するための紙や鉛筆が必要で…本当すいません。スラム出身じゃあどこも雇ってくれなくて…」

「スラム出身?じゃあ家族って…」

「ええ、スラム仲間です。でもオレにとっては本当の家族のような存在です」

「なるほど…感動した!!」


と、綱吉は大きな声を出して獄寺の肩をバン!!と叩いた。


「は…?」

「不問!全部不問!!いい話を聞いた!!」

「いえ、あの…」

「でもどういう基準で盗む人を選んだの獄寺くん」

「それは…」

「獄寺と言えば有名な富豪だろ。そこで知り合った奴らだろうな」

「ん?獄寺って有名どころなの?」

「お前な…常識だろ……」

「………」

「あー、そういやいたね。獄寺家の一人息子の隼人くん。でも彼、病気で床に伏せってるって聞いたけど」

「…世間ではそういうことになってますか」


と、獄寺は吐き捨てるように言った。


「オレは金持ちが嫌いなんです。特に汚い金でのうのうと暮らしている奴らが」

「だから抜け出してスラム街に移り住んだの?」

「…そうです」

「うーん、ますますポイントアップ」

「…?」

「ツナ。そろそろ種明かしでもしたらどうだ」

「ああ、そうだね。…ね。獄寺くん。オレ達と警察で働く気はない?」

「は?」

「優秀な人材を探してたんだよ。獄寺君なら条件にぴったりなんだ」

「で、でもオレスラム街出身で…それに犯罪者ですよ?窃盗とか…」

「いいのいいの!優秀な人に出身地は関係ないし盗まれた人は盗まれる方が悪いような人ばかりだし!むしろぐっじょぶ!!」

「え…えぇ…?」


獄寺はまさか褒められるとは思わなかったのか戸惑った声を上げる。


「無論雇う以上金も払う。悪い話じゃないと思うが」

「…ですが……」

「まぁ、警戒するのもわかる」


と、リボーンは銃を仕舞い代わりに名刺を取り出す。


「働きたくなったらここまでいつでも来い。オレか沢田綱吉の名前を出せばいい」

「はあ…ありがとうございます…」

「ちなみにお仕事は警察の仕事プラス怪盗ね。不法拾得容疑のある品を盗って欲しいんだ。白だったら警察が無事確保したってことで返せるし」

「ちゃんと予告状を出すんだぞ」

「え、あ、は、はい」


二人の言葉に気圧されながらも名刺を受け取り、獄寺は帰った。

盗品は返そうとしたが「逃したことにする」と言われそのままもらって帰った。