無害な吸血鬼
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六道骸。

最近出没した吸血鬼狩りで、その被害は百を越える。

人間なのだが、中々に強い。狙われた吸血鬼はみな一様に心臓を突かれて殺されたらしい。


「かくいう僕も狙われてね」

「あ、そう」


骸に狙われて、生き残っているのは今のところ雲雀だけらしい。他は全滅。恐ろしい話だ。とぼんやりと思う。

骸は吸血鬼を憎んでいる。とは雲雀談だ。

骸に狙われた吸血鬼の中には、人間に危害を加えず、ひっそりと暮らしていた奴もいたらしい。が、殺された。骸にとって、吸血鬼とは害虫のようなものらしい。

不愉快だ。リボーンさんも害虫だと言われた気分だった。


「まぁ、リボーンなら不意に襲われても大丈夫だとは思うけど。かれこれ数千年会ってないし、話の種ついでに会いに来たんだよ。戦いたかったし」


迷惑な話だ。


「…で、」

「ん?」

「いつまでここにいるんだよ。骸とやらの話はしたし、リボーンさんとの戦いも終わったろ」


オレは雲雀を睨み付ける。リボーンさんの城に部外者がいるのは違和感しかなく、オレは苛立っていた。


「だってまだリボーンを咬み殺してないし」


雲雀はあっさりといい放つ。だって貸した本返してもらってないし。と似たいいようだった。


「それはそうと僕は客人だよ?もてなしてよ」

「リボーンさんに危害を加えようとしている奴をもてなすつもりはない」


きっぱりとそう言って、オレは歩き出す。掃除をするのだ。数日寝っぱなしで、埃が溜まっている。早く綺麗にしなければ。


「よく働くね」

「うるさい」


そもそも、とオレは振り向く。


「ん?」

「そもそも、お前、吸血鬼なんだろ?」

「うん」

「なんで昼間に出歩いてんだよ」


雲雀が城にやってきてから夜が明けた。リボーンさんはいつものように出掛け、オレは留守番。そうしていると、昼前にどこからともなく雲雀がやってきたのだ。お天道様の日の下を歩いて。


「吸血鬼ってのは、日の光を嫌うんじゃないのかよ」

「リボーンだって歩くけど」

「リボーンさんは特別なんだよ」


きっと。


「よくわかっているじゃない」


当たったらしい。本当にそうだったのか。特別な吸血鬼。流石はリボーンさんだ。


「僕も特別なんだよ」


本当かよ。

オレは疑った。

とはいえ普通の吸血鬼ではないことはわかっていた。リボーンさんが少しだけ雲雀の説明をしてくれたのだ。

雲雀はリボーンさんが初めて会った吸血鬼で、更に言えば初めて襲いかかってきた奴らしい。

どうにも、雲雀とは変わった奴で、血の吸い方も他の奴と違う。戦って、返り血を浴びてそれで吸収するのだと。


変態め。


雲雀は何よりも戦いを好むらしい。そして強い奴の血を好む。こういう奴をなんていうんだったか…オレは以前読んだ本の内容を思い出す。確か、そう、バトルマニアだ。もしくはバトルジャンキーだな。

リボーンさんを襲ったのもリボーンさんの血に興味があったから。雲雀は強い奴の血なら相手の年齢も性別も種族も関係ないらしい。

迷惑な話だ。雲雀は迷惑な奴。それで全てだ。

掃除をある程度こなし、オレは城の外まで歩き出す。雲雀は何が楽しいのか着いてくる。


「どこ行くのさ」

「街」


オレは振り返らずに答えてやる。立ち止まったのか、追いかけてくる気配はなかった。