鬼ごっこ第二回戦
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「ううう、ごめんなさい10代目…ただあの場から10秒だけ貰ってもみんなの機動力に勝てる自信がありませんでした…無理ですマジで無理です……」
獄寺は泣きながら走っていた。擦れ違う誰もが不審顔をしていたが気にしてなどいられない。
けれどこれで多少の時間は稼げる。あの場にいた何人か脱落してくれれば御の字なのだがそこまでは楽観出来ないだろう。
とにかく、何がなんでもヒトハチマルマルまで何とか逃げ切らなければ…!!!
そう意気込むも、なんだか周りの者全てが敵に見えてくるから不思議だった。
これが被害妄想という奴だろうか……精神的に苦痛だった。
例えば。
「…おお。隼人じゃないか。どうしたんだ一体」
目の前にいる、それこそ生まれたときからの知り合いの…無条件で信頼出来るはずのシャマルですら疑わしく見えてくる、とか。
(…だってなんか、いつもと雰囲気違うんだぜ!!)
(しかも、なんか笑ってるんだぜ意味もなく!!)
(怖いわ!!!)
「どうして後ずさるんだ隼人?」
「どうして笑いながら近付いて来るんだシャマル?」
「はは、いや、たまにはお前と親交を深めようかと思ってな!!」
「………」
どうしよう。獄寺は思った。
(シャマルが鬼ごっこに一枚咬んでるのかそれともただ昼間から酔っ払ってるだけなのか本気で区別がつかねぇ…!!!)
まさかの予想外だった。
「な、なんにしろオレは今非常に忙しいんだ!!今度だ今度!!」
「連れねーこと言うなよ隼人。おいちゃんと良いことして遊ぼーぜ?」
「……………」
こいつは、酔っ払いだ。
獄寺はそう判断した。
「酔っ払いに用はねぇんだ…じゃあなシャマル」
「おっと。そう、人にほいほい背を向けるべきじゃねぇぜ…?特にこんな勝負事をしている最中はな!!」
「!?」
シャマルの声が変わった。ついでに雰囲気も変わった。
やっぱりこいつも一枚咬んでたのか!?
(だよな!なんてったってあのリボーンさんが主催者だもんな!抜け目ないもんなあの人!!!)
リボーンはこういった遊び企画において、どうすれば(自分が)楽しくなるかという勘がツナ以上に働く。
そしてそれで泣きをみるのはいつも獄寺だった。
(それはそれとして、どうするオレ!!)
(このままだとシャマルに捕まるぞ!?シャマルに一日良いように使われちまうぞ!?)
「それは嫌だ…!!!」
「せめて心の中で言ってくれ…」
「うるさい!オレは…テメェなんかに…!!」
「お前さんを行動不能に追いやれば勝ちなんだろ?ならオレの得意分野だ。諦めろお前に勝ち目はない」
「だからって聞けるかよ!!」
叫びつつ、獄寺は焦っていた。
シャマルの言うとおり、ここはシャマルの方が有利だ。
麻痺や高熱系の病気を持つ蚊の一匹でも放てばそれで終わったも同然なのだから。
何とか距離を置こうと、一歩飛んだとき…獄寺は何かにぶつかった。
「いて…気をつけろ馬鹿野郎!!」
「ん?お前からぶつかってきたんだろうが」
「うるさ………」
獄寺の口は途中で止まった。
―――何故。
何故に?
何故にお前が、ここにいる?
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