マフィアな死神
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「リボーンは、死ぬことについてどう思う?」


やっと仕事らしい仕事をしている気分になれた。

そういえば私は一応設定上彼の部下なのだから獄寺のように「リボーンさん」と呼ぶべきだったかも知れない。遅すぎるが。

けれどリボーンは呼び捨てされることに慣れているようで、特に怒られはしなかった。代わりに私の質問に面食らっているようだった。


「なんだ藪から棒に。死ぬこと?」

「そう。死ぬこと。教えてほしい」

「オレには関係のないことだな」

「関係のない?」

「ああ。何故ならオレは死なないからな」


残念なことに、高確率で四日後にリボーンは死ぬんだ。と言いそうになった。


「人間、誰でもいつかは死ぬものだと思うが」

「何にでも例外は付きものだ」


自信満々にリボーンはそう言った。どこからその根拠が出てくるのかは分からない。


「オレは死なない。アルコバレーノだからな」

「アルコバレーノ?」初めて聞く単語だった。

「人間離れしてるって意味だ」

「昨日会ったビアンキのように?」彼女もまた人間離れしていた。

「違う。ビアンキよりももっと凄い」

「凄い」ここに来てからこればっかり聞いている気がする。

「オレは人間じゃねーんだ」


私だって人間じゃないが、しかし一体どういうことだろうか。リボーンが人間じゃない?


「死神か?」ならば私は同僚を殺そうとしているのだろうか。

「そう言われることもある」

「ミュージックは好きか?」好きならきっと、リボーンは仲間だ。

「ん?まぁそうだな、それなりに」


それなりか。それなら私と同じ死神ということはないだろう。よかった。何故か私は安心した。


「つか、アルコバレーノぐらい知っとけ。結構有名な話だぞ」


そう言われても、知らないものは知らない。そんな有名な話ならそれを資料に書かなかった情報部が悪い。

それから雑談を少しして、私たちは別れた。別れたあと、私は電話を掛けた。情報部だ。


『どうした』

「聞きたいことがある」情報部は問い合わせれば答えてくれるはずだ。不親切に、だろうが。

『なんだ』

「捜査対象が、自分のことを人間じゃないと言っているのだが」


私がそう言うと、相手は小馬鹿にしたように笑った。そんなことで電話してきたのか、と言わんばかりだった。


『そんなことで電話してきたのか』実際に言われた。『そう思い込んでる人間は大勢いる』、とも。


「自分のことを、人間じゃない。アルコバレーノだ。と言っているのだが」

『アルコバレーノ?なんだそれ』私も詳しくは知らない。

「人間離れしているらしい」

『オレたちなんか人間ですらない』知ってる。

「だが、事前に貰った資料にも不審な点がある。未記入が多すぎるぞ」


そうなのだ。

年齢が黒く塗り潰されているだけじゃない。他にもあった。

家族構成も書いてないし、生年月日も西暦が抜けてる。名前に関しても「リボーン」だけで苗字すら書かれてない。いくら情報部が不親切だからって、これはあんまりだ。

そう思う私に相手が言った一言は、とても感動的だった。


『そんなことを知らなくても、仕事は出来る』お前は私の上司か。


けど確かに私の仕事は捜査対象が「可」か「見送り」かを報告するだけだ。情報が抜けていようと関係ない。むしろ渡されても資料を見ない同僚だっているぐらいだ。


『例えばお前が「可」の報告をしてそのアルコバレーノとやらが死ななかったとしてもだ。それは別の管轄の問題だ。お前には関係がない』


捜査対象と唯一接している私に「関係ない」はないんじゃないだろうか。多少の憤りはあったが、「そうだな」と返した。これも仕事だ。

そうして四日目が終わった。そういえばこの日は獄寺に会わなかった。そのせいなのか、私は少し不機嫌だった。