……ねぇ。獄寺くん。
……はい
あれから、もう10年が経ったね。
…そうですね
キミと出会ってから、キミと別れるまでの間は、今でも鮮明に覚えてるよ。
オレも…です
キミの笑った顔も、怒った顔も、驚いた顔も、幸せそうな顔も、全てを。
それは少し…照れます
でもね。不思議だね。
……?
それからの記憶が、どうも不鮮明なんだ。
……………
それから、というか、キミとの記憶以外、全てが。
10代目…
でも、キミの事を忘れてしまうぐらいなら、それでも全然構わないけどね。
オレが構います…
それにしても、10年か。
……はい
キミがいなくなってから…オレがボンゴレのボスに……10代目になることを、決意してから。
………はい
キミが一番そうなることを望んでいたんだろうに、そのキミがいなくなってから決意するなんて、皮肉だね。
そんな…こと……
決意してから、オレはますますリボーンに鍛えられて。
―――はい
事情を知ってるディーノさんにも、鍛えてもらって。
―――知ってます
一緒に決意した山本と一緒に、鍛えられて。
―――ずっと…見てましたから
高校に上がるころには、結構実力も付いていてさ。
10代目は最初からお強かったですよ
そうそう、それから雲雀先輩も、京子ちゃんのお兄さんも、ファミリーに入ったんだよ。
…はい
ま、リボーンの強い押しに折られたって感じだったけどね。
相変わらずですね、あの人も
……ファミリーに入る、確認として、獄寺くんのことが知らされて。
………
うん。驚いてた。二人とも。
でしょうね
お兄さんはともかく、雲雀さんまで驚いたのは、酷いかもしれないけど、驚いた。
あいつにも人の血が流れてたってことですかね
…獄寺くん、愛されてたんだね。
………よしてください
それでも、二人はファミリーに入ってくれたよ。
……はい
それから、オレは10代目になった。
はい
ここまで、ちゃんと見ててくれた?
もちろんです
オレの頑張り、見ててくれたかな?
当たり前じゃ…ないですか
それまでね、かなり辛いことも苦しいこともあったけど。
―――はい
獄寺くんが見ているからって、そう思って、今まで頑張ってこれたよ。
…光栄、です
10代目になってからも。
…はい
オレは頑張ってきたよ。
……はい
至らないところも沢山あっただろうけど。
そんなことありません
それでもオレは、キミのために、頑張ってきたんだよ。
10代目…
………ね。獄寺くん。
……はい?
……あれ? おかしいな。
……?
獄寺くんが、見えるよ。
――え
獄寺くん、何で、泣いてるのさ。
……それ、…は
ああもう、山本邪魔。どいてよ。獄寺くんが隠れる。
だって、10代目、が…
……いいから。オレなんて放っといて。どいてったら。
放っておけるわけないですよ!
あーもう。山本痛いよ。撃たれてるんだからもっと丁寧に扱ってよ。
―――10代目…
リボーンに習ったでしょ? 腹部の怪我は死ににくいけど、死ぬほど痛いんだって。
――10代目
だから腹部の怪我での死は、苦しみながらの死なんだって。
10代目!!
……あ。獄寺くんがまた見えた。
っぅ、……ふ…じゅ…だいめ……
獄寺くん、泣かないで。
じゅう…だいめぇ……
オレはまだやれるから。頑張れるから。
でも…っ
だから…さ。
10代目は…
……あれ? 手が動かない。
……もぅ、
っていうか、感覚が。
助かる傷じゃあ…
痛みも、もうほとんど、ないし。
ないん、です…っ
……獄寺くんも、こんな感じだったのかな?
10、代目…?
獄寺くんも、こんな、自分の身体がまるで別の……まるで機械のような身体みたいな感覚に悩まされてたのかな?
………
……最後に、最後の獄寺くんと同じ感覚を得られて、ちょっと満足…かも。
っ――最後って、
あ、今のなし。最後っての。なしね。
じゅうだいめぇ……
ああ、目が霞む。
10代目っ!?
獄寺くんの姿が、消える。
10代目! 10代目!!
もっと、獄寺くんを見ていたいのに。
10代目…ごめんなさ…っ
獄寺くん。
……え?
オレ、もっとキミといたかった。
―――え
キミと、笑っていたかった。
……………っ
キミの隣に、ずっといたかったんだ。
オレも…です
獄寺くん。
はい
オレ、もう疲れたよ。
…はい
それから、とても眠いんだ。
……そうですか
あとね。寒い。
………それは…大変ですね
流れ出る血は、こんなにも熱いくせにさ。
その体験は、オレも何度かありました
ね、獄寺くん。
………はい
少しだけ、休んでもいいかな?
………っ、それは、オレに…口出し出来ることでは、ありませんから
少しだけ。ホント、ちょっと休んだら、また頑張るから。
……ちょっとで、いいんですか?
……だけど、もしも。
……10代目さえよろしければ…
目が覚めて、目の前にキミがいたのなら。
もうずっと、休んでも、いいんですよ……?
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オレはやっと、笑えるかも。
お疲れ様でした。
獄寺くんの台詞といっこ前の山とあとここのツナのシーンには反転がありますので宜しければ見てやって下さい。
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