午前五時
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あ………?

なん…だ……?


ポケットの中に、オレの身体が散らばっている。

辺りは真っ赤で、ポケットには穴が空いていた。


ええと、ええと…ああ、そうか。


あの、乾いた音に、オレは抉られたんだ。

リボーンさんは守ろうとしてくれたけど、音はリボーンさんの手を貫いて、オレの身体を破壊したんだ。


「獄寺!」


リボーンさんが、呼んでいる。


「―――……」


声を出したいけれど、声が出ない。


言わなければ。

言わなければ、いけないのに。


先ほどのリボーンさんの問い。

自嘲する笑みを浮かべて、驚いたかと呟いた、その声に。

笑みを浮かべて、リボーンさんの目を見て。


驚きはしましたけれど、大丈夫ですって。

仕事中のリボーンさんも、素敵ですって。



オレはどんなあなたでも、大好きですって。



言いたいのに、言いたいのに。言わなきゃいけないのに、言いたいのに。

言葉がどうしても出てくれない。


時刻が午前5時になる。


それと同時に、オレの機能は完全停止して。

オレの時間は、刻むことをやめた。


++++++++++

あとに残るは、男一人。