午前五時
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「…なんとかなんねーもんかな」
「え…?」
「修理に出すとか、部品を変えるとかしたら復活しねーか?」
「リボーンさん…まだオレを使ってくださるんですか?」
「ん?お前は嫌か?もう休みたいか?」
「そんなこと!でも、オレ、もう、だいぶ古い型ですよ?」
「そうだな。それが?」
「画素数が少ないから、写真だって鮮明にも撮れません」
「別に今のままで十分だ」
「メモリが少ないから、あまりデータを持てませんし」
「今の状態でも容量が余っているぐらいだから、大丈夫だ」
「便利な機能も持ってませんし」
「どうせ使わない」
「…修理に出すより、新しいのを買ったほうが安上がりかもしれません」
「かもな」
初めてリボーンさんがオレに同意した。
「でも、」
でも、すぐに言葉を返す。
「でも、まあ、それでもオレはお前がいいな」
―――――。
ああ、もう、本当に、この人は。
どうしてオレが言ってほしいことを、オレの望むままに、言ってくれるのか。
オレがそれを尋ねる前にリボーンさんの指先がオレを撫でる。くすぐったくて、気持ちいい。
「オレはお前が好きだからな」
「リボーンさん…」
オレは嬉しさのあまりに感極まって。何かを言いたいのに言葉が出なくて。
ようやく落ち着いた時には、
空気が、
世界が、
一転していた。
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