午前五時
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目を、覚ます。


………?


ええと…なにがどうなったんだっけか。

起きる前のことがどうにも思い出せない。

ここは…リボーンさんのポケットの中か。この時間はいつもなら机の上にいるんだけどな。置き忘れたかなリボーンさん。

もぞもぞと身体を動かして、ポケットから顔を出す。なんと。ここは外ではないか。

リボーンさんが外で寝るとは珍しい。こんなこと初めてではあるまいか?

どうりで身体も冷たいと思いました。こんなところで寝てるから、すっかり身体が冷えてしまって。もう、いけませんよリボーンさん。

ともあれ、なんであれ、オレは仕事をしなければ。いつもの仕事。朝の仕事。

いつもは、いつもならリボーンさんが起きてオレの朝一の仕事は不発に終わるのだけれど、どうやら今日は初めてこの仕事が出来そうだ。


「リボーンさん」


リボーンさんに声をかける。リボーンさんはぴくりとも反応しない。

ふふ、もう、ぐっすりと眠ってしまって。寝起きはいい方だって、言っていたのに。


「リボーンさん、リボーンさん」


リボーンさんの身を揺する。声を掛ける。

けれども、リボーンさんは起きない。


「リボーンさん、リボーンさん、リボーンさん」


オレはリボーンさんに声を掛ける。リボーンさんが起きるまで。それがオレの仕事。

ああ、でも、けれど、そろそろオレの電池がやばいです。

昨日の朝、少し充電しただけですから、そろそろ残量がなくなります。

それまでに、リボーンさんが起きてくれると、いいのだけれど。

早朝の路地裏で、場違いなオレの声が小さく響き渡る。繰り返し、繰り返し。

ねえ、リボーンさん。起きて。早く。早く起きてください。

早く起きないと、オレの電池が切れて、あなたを起こす方がいなくなってしまいます。


リボーンさん、起きて。

リボーンさん、早く、

リボーン さん。


リ ボー ン さ ん

リボー ンさ ………


……………。


++++++++++

あとに残るは、亡骸二つ。