午前五時
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オレは食事を途中で終わらせ、リボーンさんのズボンのポケットに入った。
外はまだ朝早く、歩いている人も疎らだった。
…あ。
手紙が届いた。
「リボーンさん。手紙です」
オレは歩くリボーンさんを見上げ呼びかける。しかし気付いてくれない。
「リボーンさん、リボーンさんー」
ぽふぽふとリボーンさんを叩いて呼びかける。それでやっとリボーンさんは気付いてくれた。
「…ん?メールか」
リボーンさんの大きな手がオレを持ち上げる。
オレはリボーンさんの長い指をぼんやりと眺めていた。
暫くして、やがて出来た手紙を受け取り送る。
うむ。やっと務めを果たせた気分だ。
「お。猫だ」
リボーンさんの声に視線を移せば、オレたちの目の前数メートル先に黒猫がいた。
「獄寺。カメラ」
「分かりました」
…バッテリー…大丈夫かな。
という一抹の不安が一瞬頭を横切るが、そのことはおくびにも出さずオレはカメラを準備した。
ピントを絞り、色を調整し、光の具合を調べ、シャッターを切る。
シャッター音に驚いた猫がこちらを見遣り、オレたちの前を横切って逃げていった。
黒猫が横切るのは縁起が悪いというが、リボーンさんはまったく気にしてない。
「いい写真が撮れたな。よくやったぞ獄寺」
「ありがとうございます」
褒められて、嬉しい。
上機嫌なリボーンさんを見れて、嬉しい。
リボーンさんを喜ばせることが出来て、嬉しい。
ああ、リボーンさん。
だいすきです。
ずっとお傍に、いさせてください。
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