午前五時
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リボーンさんは、オレに仕事の話はしたがらない。
だからオレはリボーンさんの仕事のことを何も知らないが、それでも何となく察しは付く。
リボーンさんの仕事というのは、恐らく危険で、酷く恐ろしいものなのだろう。
リボーンさんは、オレを仕事と関わらせようとしない。
オレをこの場に連れてくることさえ好んでいない。
けれどそれだとオレがほとんど外に出れなくなるので、事実、最初オレは外に出れなくて、オレは不貞腐れて、拗ねて、泣いて、今に至る。
それでも外に出れるのはほんの僅かな時間だけだし、リボーンさんが仕事をしている間は鞄の中で眠っていなければならない。
今こうしてズボンのポケットの中にいるのは、リボーンさんがオレを鞄に仕舞うよりも前に姉貴がリボーンさんを呼んだからだ。仕事の電話が来たのだと。
かくしてオレは、本来ならば見ることの出来ない仕事中のリボーンさんを覗き見ることが出来ていた。
本当なら、落ち着いたときにでもリボーンさんにオレを仕舞い忘れていると伝えなければいけないのだろうけれど。
オレの知らないリボーンさんを見てみたいという好奇心の方が強くて。
………。
リボーンさんは、いつもと全然違っていた。
目付きも、声色も、雰囲気でさえ。
リボーンさんは、この姿をオレに見せたくなかったのだろうか。
リボーンさんは、この姿をオレに隠したかったのだろうか。
オレは見てはいけないものを見てしまった気分になって、罪悪感に駆られた。
それからは本当に寝て過ごした。
オレは何も見てない。
オレは何も聞いてない。
オレは何も知らない。
でも、オレは。
あなたがどんな方であろうとも。
オレは、どんなあなたでも…
…………………。
……………。
………。
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