午前五時
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「…ん?獄寺?どこだ?」
リボーンさんの声が聞こえて、オレは目が覚めた。
ポケットから顔を覗かせると、そこは室内ではなく屋外だった。辺りは暗い。
リボーンさんは電灯の明かりの下で鞄の中を漁っていた。
オレを探しているのだ。
「リボーンさん、オレはここです」
「ん?…ああ、なんだ。そこにいたのか」
オレの声で、リボーンさんはオレの場所に気付いた。オレを取り出し、少し神妙な顔をしてみせる。
「ずっとここにいたのか?」
「はい」
「………」
リボーンさんは次の言葉を吐くのに、少しだけ間を置いた。
「…見たか?」
仕事中のリボーンさんのことだろう。オレはとぼけることにした。
「何をですか?オレ、ずっと寝ていたもので」
「…そうか」
リボーンさんは心なしかほっとした様子だった。
これでいい。リボーンさんに余計な気を遣わせる訳にはいかない。
「寝ていたなら、別にいいんだ。そうだ、オレに何か来ているか?」
「ええと…」
オレは確認を取った。着信、なし。手紙……は…あった。
「手紙が二通、来ています」
「そうか」
リボーンさんが手紙を読む間に、オレは時刻を確認する。
確認して、驚いた。てっきり夕刻だと思っていたのだが時間は午前4時21分40秒。早朝だ。
「こんな時間まで一体何をしていらしたんですか?」
「仕事だ」
「こんな時間まで仕事ですか?」
「そんな日もあるんだ」
そうなのだろうか。
今日までこんな日があっただろうか?
あったような…なかったような?
思い出せない。
そうする間にリボーンさんはオレを定位置に仕舞おうとする。いつもの場所。ズボンのポケットの中。
………。
1.「リボーンさん」
2.「………」
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