恋愛CHU☆
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「……静かに…なったな」
「なったね」
ハヤトの悲鳴は当然のように待合室で待ち続けるリボーンたちの所にも届いていた。
まぁ、場所が場所なので悲鳴の理由も分かっていたし、放置しておいたのだが…
「静かになると…それはそれで不安だな」
「そうだね…って、あ。戻ってきた」
様子を見てみるべきかと思い悩んでいた二人の下にハヤトが戻ってきた。一人では立てないのか最初ハヤトを連れて行った巨漢の男が運んできた。
ハヤトは最初はふらふらと歩いていたが…その視界にリボーンを認めると、今までの緊張の糸が千切れてしまったのか急に泣き出して、リボーンに飛び込んできた。
「ふ、ふぇえええええん!リボーンさんー!リボーンさんリボーンさんリボーンさんー!!!怖かったですー!!」
「怖かったってお前…大袈裟な」
「ひっく…全然…全然大袈裟じゃないです!何度死ぬかと思ったことか!!」
「歯医者で誰が死ぬかよ」
「でも…でもでも!凄い怖い顔の人に口の中見られて何度もカスがカスが…って!」
「カス?ああ、喰いかすか?歯石を取ってもらっただけだろ?いい事じゃないか」
「それに…それにですよ!?おっきなロボットがいて、ハヤトの身動きを取れないようにしたりそれにレーザーとかも撃ってきたりして…!」
「…ハヤト落ち着け。歯医者に普通、ロボットはいない」
「分かってます!でも本当に…本当にいたんですよ!?レーザー撃たれたんですよ!?信じて下さいリボーンさん!!!」
愛する妻の、必死の訴え。
けれど…ああけれど。今ここにいる、この世界のリボーンは結構常識人なリボーンなのであった…
「はいはい。そうだなそうだな」
「きゅー!!し、信じてない…信じてないです、リボーンさん!!」
「さて、とっとと会計済ませて帰って寝るか」
「リボーンさん!!」
泣き出しそうなハヤトを雲雀に任せ、リボーンは会計窓口へと足を進む。
…と。
「………む。あんた…気に食わないね」
開口一番に会計の窓口にいた深いローブを被った人間にとてつもなく失礼なことを言われてしまった。
「…偶然だな。オレもなんだか…お前とは馬が合いそうにない」
ばちばちばちばち…!リボーンとフード人間―――名札にはマーモンとあった―――との間に見えない火花が爆ぜ合っていた。
「…こちらがお会計となります」
「…ん?おい待て。この値段はぼったくりなんじゃないのか?」
「保険書の提示がなかったもので。この料金になります」
「本当か…?なんなら調べてもらってもいいんだぞ?」
「は、身元を明かさない人間のくせに。下手に第三者を呼んだら大変なことになるの、そっちなんじゃなの?」
「…言ってくれるな」
バチバチバチバチ…!見えない火花が更にバチバチと爆ぜていた。
「…ふん、まぁいいよ。それで、次の来日はいつにするんだい?」
「き…きゅー!つ、次ですか!?まだあるんですか!?」
「この時間帯でもいいのなら、明日でも構わない」
「そう…じゃあ明日の…」
「きゅ、きゅ!リボーンさん…!ここは!ここだけは勘弁して下さい!!ハヤトいい子になりますから!歯もちゃんと磨きますから!だから…この歯医者さんだけはもう許して下さいー!!」
相当な嫌われようだった。レヴィがちょっと切なそうだった。
真夜中の歯医者に、ハヤトの鳴き声がきゅーきゅーと響き渡っていた…。
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