LINBO
2ページ/全2ページ
草原。
目の前に、草原が広がっていた。
何故だか、色はない。
オレの目がいかれてしまったのか、
はたまた、この世界がこういうものなのか、
それとも、世界とは最初から色などないものだったのか。
はて、はて。ここはどこだろうか。
こんな場所に、見覚えなど、ないのだが。
だけど、確か、何か、誰かを、捜しに来たような、そんな気がするのだが。
思い出せない。
辺りを見渡す。
白と黒と、灰色の世界。広がる草原。
オレの他には―――
誰か、いた。
小さな、誰かが。
オレから見て、後ろを向いていて、誰だかは分からない。
分かるのは―――
オレが探していたのは、あの人だという事。
ああ、やっと見つけた。
こんなところにいたんですね。
まったく、こんなところで、今まで、何をしていたんですか?
オレは、結構大変な目に遭いながら、ここまで来たというのに。
…まあ、いいです。
あなたを見つけられたのだから。
あなたに近付く。
おや、片腕がないじゃないですか。
あなたという方が、一体どこに落としてきたのやら。
次はその腕を捜しに行きましょうか?
あなたに近付く。
…ああ、そうか、ここは、この場所は―――
唐突に理解した。
ここは、生の国と、死の国の間に存在する世界で。
オレは生の国から、消えたあなたを捜しに来て。
だけどここは、長く居すぎると、生の国にも戻れず、死の国にも行けない世界で。
オレを、この世界から、排除させようとしてきた奴らは、オレを正しい世界へ、行くべき世界へ向かわせようとしていて。
だけど、もう、
あの時、あの膜を突き破った時、オレはこの世界に固定されてしまった。オレはこの世界の住民となった。
オレはもう、ここから出れない。
…まあ、いい。それは、別にいい。
せめて、あなただけでも、どちらかの世界へ、向かわせる事が出来ればいいのですが。
あなたに、近付く。
あなたに手を伸ばす。
あなたはオレに気付き、
動きを止め、
振り返ろうとして―――――…
++++++++++
世界は闇に閉ざされた。
前
戻