あなたへ贈る偽りの日々
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- 序章 その真相 -
それはある日のこと。
お前は病に掛かったんだと、生まれた時からの知り合いの白い医者に言われた。
なるほどな、とそう思った。道理で身体の調子がどこかおかしいと。
その病を殺すことはもう出来なくて、ようはもう手遅れと言うやつで。
言われて手を開いてじっと見てみる。…上手く力は入らなくて、身体の節々が痛んでた。
末期だと申告されても、年を明けるまで生きられないだろうと言われても…特にオレの心に揺らぐものは来なかった。
ただこのあと…オレと同じく病にかかった奴の名を聞いた時、少し心が揺らめいた。
…思えば昔から無茶ばかりしてきたものだ。こうなるのも、ある意味当然か。
自覚し、原因の分かった痛みを殺しながらオレは目の前の医者に目をやって―――
ひとまずその場でオレが望んだものは、二つ。
まず、大量の痛み止めとそして…
…オレの恋人…獄寺隼人には黙っていろと。
―――絶対に、気付かせるなと。
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