あなたへ贈る偽りの日々
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- 患者 リボーンの場合 -


白い錠剤を無造作に取り出して、噛み砕く。

薬は勘を鈍らせるのであまり使いたくはないのだが、そういうわけにもいかなくなった。


…まだ、死ぬわけにはいかないからな。


とっとと目の前にいる馬鹿共を片付けて、あいつのところに行かなければならない。

あいつはああ見えて淋しがり屋だからな。いつも強がっているがオレには全然隠せてない。

だから…こんな所で時間を喰ってる暇なんか欠片もなくて。早くこいつらを倒してあいつの…獄寺の、ところに。


―――と、喉の奥から込み上げてくるもの。思わず咽て、ついさっき飲んだ薬が血液と共に戻ってきた。


ああ、こんな所で…手間取っている場合ではないのに…

微かに震える指先で銃を構え、狙いを定めて。引き金を引いていく。

一つ。二つ。…段々と数が減っていく。そして全ての気配を消し去った。


ああ―――あとは、あいつのところに行くだけだ。それよりも先に着替えか?攻撃は当たってないのに血塗れだぞ畜生。

着替えが済んだらもう一度痛み止めを飲もう。あいつにだけは隠し通して死にたい。

あいつはぼろぼろな身体でも変わらず無茶するからな。オレが止めてやらないといけない。

あいつの受けてる痛みは分かる。あいつの受けてる苦しみは分かる。


オレも同じものを味わってるからな。


…さて、早くあいつのところへと向かわねば。…なんにしても、まずは移動だな…

壁に手を付いて、立とうとするが…上手く力が入らない。


ええい、忌々しい。少しの無茶ぐらい…聞きやがれ。


まだ…オレは…死ぬわけには……


あいつが死ぬまで…死ぬわけには………


……、………。


………。