獄寺ハヤトの暴走
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目が覚めると、そこは白いシーツの上で。

ハヤトは夢心地でやはり白い天井を惚けながら見ていた。


「目は覚めたか?」


その声に、自分の近くに誰かがいることを知る。その声は知っていた。それは…


「リボーン、さん…」


それは自分のマネージャーで…そして自分の想い人でもあるリボーンで。


「お前、いきなり倒れたそうだぞ。…まったく、自己管理も出来ないのか。お前は」

「あ、ぅ…」


なんの反論も出来ない。それに自分はみんなに…何よりも彼に。迷惑を掛けたくないと出社したというのに結果的にただ休むよりも迷惑を掛けている。


「ごめ…ん、なさい」

「…まあ、いい。そういえば最近満足に休みも取れなかったしな。いい機会だと思って暫く休んでろ」


言って、リボーンはハヤトの頭を撫でてくれる。

その感覚はとても優しくて心地良くて。ハヤトはこの手が大好きで。


「じゃあ、オレは仕事に戻るが…お前はしっかりと休養に励めよ」

「あ…」


手が、彼が。離れる。遠のいてしまう。

それは寂しくて、淋しくて…思わず縋るように手が伸びてしまって。


「…?どうした。ハヤト」


思わずきゅっとリボーンの服の袖を掴んでしまったハヤト。不思議そうに聞いてくるリボーンに慌ててしまう。


「ぁ、いえ…な、なんでも…ないんです。リボーンさん…」


本当は行ってほしくない。本当は傍にいてほしい。だけどそれは言えなくて。

ハヤトは自ら掴んだその手を開放しようとする。手の中に入れた温もりを自ら手放そうとしている。

すると…


「…まぁ、いい」

「はぅっ!?リボーンさん?」


手を離して、リボーンはそのまま部屋を去るのかと思ったら開放された手はハヤトの頭にまた伸びてきて。撫でて。


「暫く傍にいてやるから。そんな顔をするな」

「リボーン、さん…」


ハヤトはリボーンさんを困らせてしまったという思いと、自分の気持ちが分かってくれたという想いに切なさと嬉しさが募って。

目を瞑るとすぐに夢の中へとハヤトは落ちていった。