はじめて、しましょ★ - 雲雀編 -
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朝。真夏日は日が登るのが早い。
取り合えず部屋を軽く掃除。続いて朝食の準備。
彼女との送り迎えを考えると少し速い時間な気がしないでもないけど女の子というものは色んな準備に時間が掛かるものだ。
朝御飯は白いご飯と油揚げと豆腐の白出汁味噌汁、おかずのシシャモは一人二匹。それと煮物と漬物を数点。
まぁこんなものだろう。お弁当も出来た。じゃあハヤトを起こしにいこう。
彼女の寝室の前まで移動して。ドア越しに呼びかける。
「ハヤト。もう朝だよ。起きなさい………ハヤト?」
中からの反応なし。はて。試しにドアをノック。けれどやはり反応なし。
「………?ハヤト?―――入るよ?」
最終警告。けれどやはり返事はなく。…僕が悪いんじゃないからね?
自分に言い訳してドアを開いて。部屋の中を回し見るとそこには。
―――飛び込んできたのは、白い肌。
白い…少し白すぎる感がする肌が、朝の光に照らされている。
次に目に入るのが、白い肌よりも更に白い―――ていうか白の、薄い布。
それは言ってしまえば下着で。ていうか、ドアを開けたら下着姿のハヤトが明るい黄色のタオルケットに包まれながら眠っていた。
ギギギ、と僕はなんだかまるでロボットのような動きで柱まで移動して。掴んで。思いっきり振り被って―――
ガンガンガンガン!!!
思いっきり、それに頭をぶつけまくった。
な、な、な、なんでなんでなんでなんであの子パジャマ脱いでるのー!!!!!
ガンガンガンガン!!!
ちょっと待とう。冷静になろう。いや無理。落ち着けない。だからこんな行動に出ている。
ガンガンガンガン!!!
ていうかあの子本当大丈夫!?ていうかなに!?僕は試されてるの!?実は社長のドッキリだとか!?
ガンガンガンガン!!!
ああそれだとむしろ逆に納得だよ!仕込みとか流石だよ!でももしそうだったらこんな会社辞めてやる!!!
ガンガンガンガンガンガンガンガン!!!
頭が止まらない。ていうか全然痛くない。ちょっと危ないかも。色々と。
「ん…にゅ…?―――ふぁ!?ひひひ、雲雀さんんんんんー!?」
頭を打ちつける音に目が覚めたのか後ろでハヤトが驚愕の声を上げている。
「ど、どどど、どうしたんですか雲雀さん!?そんなに柱に頭をぶつけて!何か柱に恨みでも!?」
「恨みはないよ。ところでハヤト。その姿はなに」
僕は努めて冷静な口調でハヤトに問い掛ける。無論頭を柱にぶつけながら。
「え?…あ、これはですね…昨日暑くって…」
えへへ、と照れくさそうに笑うハヤト。…そうだね。この部屋にエアコンないものね。昨日は蒸し暑かったしね。
ていうか目覚めても自分の格好自覚しつつも隠そうともしないって何。
キミ、本当に自分が女の子だって自覚あるの?
「―――なんでもいいから早く着替える!汗を掻いて気持ち悪いって言うのならシャワーを浴びる!早く!!」
「あ、は、はい!すいません雲雀さんー!!」
ぱたぱたと慌ててドアの向こうに消えるハヤト。…はぁ、やっと落ち着く。柱から手を離す。
ハヤトが着替えてくるまでにお味噌汁温め直さないと…
そう思って、僕はハヤトの部屋をあとにする。
…数分後。
「あの、雲雀さん…その、着替え…忘れちゃって―――本当にごめんなさい!その…持ってきてもらえませんか…?」
なんて。シャワールームから聞こえてきたその声に再び彼女の部屋に戻ることになるだなんて微塵にも考えず。
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