悪夢
1ページ/全4ページ


突然だが、ボンゴレアジトには中庭がある。

中庭には噴水があり、太陽に煌めき虹を映し出していた。

そんな綺麗な噴水の縁に彼女は、リボーンは腰掛けていた。

その表情は憂いに満ちており、いつもの明るさは影を潜めている。

らしくないリボーン。アジトの中では普段の彼女だが、この噴水広場に来るとどうしても落ち込んでしまう。

そんな彼女に。


「リボーンさん」


獄寺が近付く。


「…どうした」

「それはこっちの台詞です。元気がないようですが…どうかしたんですか?」

「…なんでもない」

「………」


素っ気なく言い放ち、そっぽを向くリボーン。それに対し獄寺は困った顔をする。


「…オレ、ここにいてもいいですか?」

「…好きにしろ」


そっぽを向いたままリボーンは呟く。獄寺はリボーンに立ち去られたらどうしようかと思ったが、リボーンはその場に留まってくれた。


「…こんなところにいて楽しいか?」

「楽しくないですね」

「………」

「リボーンさんが笑ってくれないと、楽しいなんて思えません」

「……………」


言葉を詰まらせるリボーンに、獄寺は優しく問い掛ける。


「………なにか、ありましたか?」

「…つまらないことだ」


リボーンはそっぽをむいたまま、囁くように呟く。


「夢を、見た」

「夢…ですか」

「ああ。…お前が、オレのせいで死ぬ夢だ」

「………」


それは夢。

あくまで、ただの夢。

けれど、実際に起こりうる可能性のある話。


アルコバレーノの呪い。


呪いに焼かれる自分。

駆け寄る獄寺。

すると呪いが獄寺にも手を伸ばして。

獄寺も、呪いに焼かれて―――