悪夢
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突然だが、ボンゴレアジトには中庭がある。
中庭には噴水があり、太陽に煌めき虹を映し出していた。
そんな綺麗な噴水の縁に彼女は、リボーンは腰掛けていた。
その表情は憂いに満ちており、いつもの明るさは影を潜めている。
らしくないリボーン。アジトの中では普段の彼女だが、この噴水広場に来るとどうしても落ち込んでしまう。
そんな彼女に。
「リボーンさん」
獄寺が近付く。
「…どうした」
「それはこっちの台詞です。元気がないようですが…どうかしたんですか?」
「…なんでもない」
「………」
素っ気なく言い放ち、そっぽを向くリボーン。それに対し獄寺は困った顔をする。
「…オレ、ここにいてもいいですか?」
「…好きにしろ」
そっぽを向いたままリボーンは呟く。獄寺はリボーンに立ち去られたらどうしようかと思ったが、リボーンはその場に留まってくれた。
「…こんなところにいて楽しいか?」
「楽しくないですね」
「………」
「リボーンさんが笑ってくれないと、楽しいなんて思えません」
「……………」
言葉を詰まらせるリボーンに、獄寺は優しく問い掛ける。
「………なにか、ありましたか?」
「…つまらないことだ」
リボーンはそっぽをむいたまま、囁くように呟く。
「夢を、見た」
「夢…ですか」
「ああ。…お前が、オレのせいで死ぬ夢だ」
「………」
それは夢。
あくまで、ただの夢。
けれど、実際に起こりうる可能性のある話。
アルコバレーノの呪い。
呪いに焼かれる自分。
駆け寄る獄寺。
すると呪いが獄寺にも手を伸ばして。
獄寺も、呪いに焼かれて―――
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