悪夢
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やがて泣き疲れたのかリボーンは獄寺の胸の中で眠りについた。起きていた時の険しい表情はそこにはなく穏やかな顔付きだった。
獄寺としてもリボーンをこのまま寝かせてやりたかったのだが、無粋な冷たい風が吹いて二人の邪魔をする。
「…リボーンさん。起きて下さい。…自室で休みましょう」
獄寺がそう声掛けるも、リボーンは一向に目覚める気配がない。
「………」
困りに困った獄寺だったが、やがて意を決したかのような顔をして立ち上がる。リボーンをお姫様抱っこして。
「自室に行きますよ。リボーンさん」
獄寺はアジトに入り、道すがらファミリーに冷やかされ…リボーンの寝室に辿り着く。
「失礼します」
ドアを開け、リボーンをベッドに寝かせる。離れようとして、リボーンが獄寺の手をぎゅっと握り締めていることに気付いた。
「…リボーンさん…ほどいてください」
声掛け、手をぶらつかせるもリボーンは目を開けず、手を離さない。
「…リボーンさん…勘弁して下さい」
困ったようにそう言っても、リボーンは相変わらずだ。
「………」
獄寺は空いている片方の手で頭を掻き、ため息を吐いてその場に座り込んだ。尻を床、背をベッドに置く。
「…今日だけですよ。リボーンさん」
そう呟くと、リボーンの獄寺を握り締める手が少しだけ強まったような気がした。
その日。リボーンが悪夢にうなされることはなかった。
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