甘い告白
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「10代目…」
「ふむ。ツナも成長したな。そろそろ止めといてやるか、数時間後には会議があるしな」
そう言うと、リボーンはいきなり獄寺の細い腰に手を伸ばした。
「んーーー!?リ、リボーンさんっ!?」
獄寺の驚きの声にも耳を貸さず。リボーンはその手をゆっくりと下へと降ろしていく。
「っ!?ちょっとリボーン!オレの 獄寺くんに何してるの!!」
すぐさま気付いたツナがリボーンを睨みつける。その眼は据わっていた。
「何って…」
リボーンはツナの睨みもどこ吹く風な感じでまるで怯まず、更に獄寺を抱き寄せて。抱き締めて。
「セクハラ?」
「分かってんならやめろよ!!」
流石のツナも我慢出来ず、いきなり立ち上がるがその足はふらついていて。
「じ、10代目!大丈夫っすか!?」
獄寺はリボーンの束縛から抜け出しツナを支える。ツナの顔は真っ赤で、完全に酔っていた。
「ツナー!まだ勝負は終わってねぇぞー!!戻ってこーい!!」
山本は山本で酔っていて。どうやら勝負は引き分けのようだ。
「…仕方ねぇな。獄寺。ここはオレに任せてツナを寝かしてやれ」
「は、はい。…さ、10代目、こちらです」
獄寺は半分寝ているツナを肩で背負って部屋を後にした。
広く、冷たく。長い廊下を獄寺は歩く。ツナを背負って。
ツナはよくふざけて獄寺を姫抱っこするのだがまったくとんでもなかった。この細い腕でどうして自分の身体を持ち上げられるのか。
(それともオレの筋力が乏しいだけなのか…?)
少し悲しくなった獄寺。ついでに今度筋トレでもして筋肉を付けようと思った。
「ん〜…」
と、ツナが呻く。起きたのかと思ったが、まだ夢心地のようだ。
「獄寺くん好き〜」
「はいはい、オレも好きですよー」
ツナには分からないのに、獄寺は律儀に返事をする。…といっても、少しおなざりなものではあったが。
「獄寺くん愛してる〜」
「はいはい、オレも愛してますよー」
時折、こんな事はある。山本はツナとどうしても勝負を付けたいらしく、こうして勝負を持ちかけてくる事があって。
その度に獄寺は酔い潰れたツナを運んでいくのだが、この会話は毎回行われている事なので獄寺の返答も軽いものであった。
(しかし…重い)
意識のない人間の身体は余計な力が抜けるから意識があるときよりも重くなる。という話を獄寺は思い出していた。
獄寺は汗を掻きながら、ツナを寝室まで運んで行く。
部屋の中まで移動して。ツナをベッドに寝かせて。獄寺はようやく一息ついた。
「…はぁ、10代目、スーツがしわになります。脱がせますよ?」
聞こえていないであろうツナに律儀にも一言断りを入れて獄寺は上着を脱がせようとする。…と、そこに。
「え…?うわ!」
いきなりツナの腕が伸びてきて獄寺を捕まえてはそのまま抱き寄せる。獄寺は動けなくなる。
「じ、10代目!起きてるんですか!?起きてるんですね!?」
獄寺は必死に抵抗するが、ツナの力が強くて抜け出る事は叶わない。
「くぬ、ぬ…じ、10代目オレはまだ仕事が残ってるのですが…っ」
ツナのスーツを脱がせ、しわにならないように仕舞い、それから朝一の会議に必要な資料の準備。他にも諸々。右腕は忙しかった。
「んん…獄寺くん」
またツナが呻る。薄目を開けて、焦点の合っていない眼で獄寺を見て。そのまま覆い被さった。
「なー!?じ、じ、10代目何するんですかー!!」
「獄寺くん大好き〜」
獄寺の問いの答えになってない発言を怪しい呪文のような口調で唱えながらツナは獄寺の首筋に音を立ててキスをして。
「ひー!10代目お気を確かに!!」
ツナは聞こえているのかいないのか、更に獄寺の首元を肌蹴させてはその白い鎖骨をぺろりと舐めて。
「獄寺くんすき〜、だいすき〜」
「オレも好きですから!貴方に命を助けて頂いたあの日からずっとずっとお慕い申し上げていて!その時からずっとオレの気持ちは貴方のものですから!だから勘弁して下さいー!!」
このままいくと泣き出しそうな(むしろ既に泣きかけている)獄寺の告白が天に通じたのか。
「ん〜」
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