甘い告白
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ツナは呻いたあと、また眠りの底へと意識を落とした。獄寺は安堵の息を吐く。
「はぁー…、助かった…」
決してツナと事を及ぶのが嫌という訳ではないが、酔っている時よりもちゃんと意識のある時を希望する獄寺であった。
更に言うなら時間もない。出来れば余裕のある時が好ましいのであった。
ツナは寝てしまったものの、獄寺を手放す気だけはないようで。しっかりと抱きしめては10年で厚くなった胸板に獄寺を押し付けていた。
(抜け出れない…)
まだ仕事があるが、今までの経験上こうなってしまっては脱出は不可能。明日早朝に起きて片付けるとしよう。
獄寺は腕だけツナの束縛から解放して。そのままツナを抱きしめて。
するとツナがまた呻る。…幸せそうに笑ってた。
「ごくでらくん、……あい、してる…」
ツナの今まで何回も言ってきた、可愛い告白に獄寺は穏やかな笑みを浮かべながら。
「オレも…愛、してます。……綱吉さん」
滅多に言わない彼の本名で、愛の告白をして。背伸びをしては、ツナの閉じられた唇に口付けを一つ落とした。
翌朝、獄寺が意識を取り戻した時ツナは既に起きていた。表情の読めない顔で、胸の中の獄寺を見下ろしている。
「あ…10代目。おはようございます……」
寝呆け眼でツナにそう言い、辺りの暗さ、気温から時間を察する。今から急いで資料を用意すれば会議には間に合いそうだ。
獄寺がそう思ってベッドから出ようとするがツナは獄寺を離さない。
「…?10代目?」
「獄寺くん、オレ…山本と飲み勝負して暫くしてからの記憶が曖昧なんだけど…」
「あぁ、会議があるからってリボ−ンさんが解放してくれたんですよ。成長したなって褒めてました」
「…獄寺くんがオレのベッドにいるって事は…その―――」
「あはは。スーツがしわになっちゃいけないと思って脱がせようとしたらこのざまです。10代目オレを離してくれなくて」
獄寺の台詞に、ツナは難しい顔を返して。
「…10代目?」
「―――つまり、あれか」
「はい?」
「オレは酔った勢いで獄寺くんとベッドインしたはいいけど、そのまま寝てしまって何もしなかったって事か」
「じ、10代目…?」
ツナの獄寺を抱きしめる力が強くなる。ついでに震えている。
「あーくそっ!オレのヘタレー!!」
「じゅ、10代目!えと、大丈夫です!何もしなかった訳ではないですから!!」
「―――え?」
「あ…」
獄寺、軽く自爆。
顔が赤くなっていく獄寺に、ツナは真面目な顔になって聞く。
「…オレ、獄寺くんになにしたの?」
「そ、それは…その……」
獄寺の顔は更に赤くなって。ツナとも目を合わせられないのか顔を俯けた。
実際にされたのは首筋に軽いキスと、鎖骨を少し舐めなれただけなのだが獄寺にとってはそれだけでも言うのは恥ずかしいようで。
「い、言えませんっ」
「うわー!オレ一体なにしちゃったんだー!!何も覚えてない!!悔しい!!」
どっちに転んでも嘆くツナだった。
「っ、こうなったら…!」
言うが否や、ツナは獄寺の服に手を掛ける。
「な―――!10代目なにするんですかー!!」
「決まってるだろ!昨日出来なかった分と覚えてない分をここで晴らすの!あーもうオレどこまでしちゃったんだろ!!」
「あらゆる意味で駄目です無理です!これから会議があるし、そのための資料に眼を通してもらわないと!あ、その前に着替えと…ってぎゃー!!」
獄寺の言い分を全て無視し、ツナは獄寺のシャツのボタンをやや乱暴に…
「朝っぱらから盛ってんじゃねぇぞツナ」
…外そうとしたとき、いきなりリボーンが現れてツナを蹴っ飛ばした。
「リ、リボーンさん…助かりましたけど……今のは」
痛そうです。と非難する獄寺に、リボーンは涼しい顔を返す。
「このぐらいしねぇと大人しくなんなかっただろうからな。それよりも獄寺。お前早く乱れた服整えて資料用意してこい」
リボーンのその言葉に急いで身支度を整え、ぱたぱたと走っていく獄寺。その後ろで。
「……………少し、強く蹴りすぎたかな…」
と、全然焦っていないようなリボーンの台詞は―――――幸いな事に、獄寺には聞こえなかった。
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おーい、ツナ、起きろー
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