ある 雨の日
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「…あら。獄寺くん?どうしたの?忘れ物?」
―――獄寺さん?
走っていくと、確かにそこには獄寺さんがいて。
…手には私の傘を、持っていて。
「えっと、これイーピンの傘…ですよね。落ちてたので、お届けに…」
…落ちてた?
でも、あの傘は…でも、確かに…
「あらあら。ごめんなさいね獄寺くん」
「いえ、良いんですよお母様!では、オレはこれで…」
…と、私と獄寺さんの目が合いました。
「――…来るか?」
獄寺さんは私に手を差し伸べて。
私は、その手に応えて。
「すみませんお母様。イーピン少し、お借りします」
そうして私は獄寺さんと共に獄寺さんのマンションまで赴きました。
獄寺さんがドアを開けます。私は入ります。
「ただいまーっと…」
獄寺さんが誰ともなくそう言うと。暗い部屋の置くから小さい何かがこっちへ…
あ…
やってきたのは、白い猫。
「お前、こいつに傘差してやってたんだな」
…朝、私が傘をあげた、白い仔猫。
「だからお前、ずぶ濡れで帰ってたんだな」
猫は、私にじゃれついてきて。獄寺さんはおかしいのか笑って。
「…随分お前に懐いてるな。まぁ、暫くはここで面倒見てやるから。たまにはこいつと遊びに来い」
そう言っては、獄寺さんは私と仔猫の頭を少し乱暴に撫でました。
「でも。少しは自分も大切にしろよ?お前が倒れると心配する人が沢山いるんだから」
その言葉を獄寺さんに言い返してやりたくなって。実際に言い返しましたが。残念なことに通じません。憎むべきはバベルの塔です。
っと、仔猫が獄寺さんに飛び掛りました。獄寺さんは驚きながらも受け止めます。
…む。かなり羨ましいです。私もかまって欲しいです。
思い立ったが以下省略です。そんなわけで私も――…
ピンポーン
べしゃ。
………痛いです。
状況を説明するのなら丁度飛び掛ったそのときチャイムが鳴って獄寺さんが立って私は床に激突しました。痛いです。
「イーピン。迎えが来たぞー」
その声に反応して顔を上げると、そこには獄寺さんと迎えであろうツナさんがいて。
…もう少し遅く来てもよくありません?
まぁ良いのです。私は猫と獄寺さんに手を振って、獄寺さんのマンションをツナさんとあとにします。
そうです。明日にでもまた、猫に会いに獄寺さんのマンションに行きましょう。
そうしてそこで、猫と沢山遊んで。そして獄寺さんに、思いっきり甘えることとしましょう。
そう思ったら、ものすごく楽しみになって。
早く、明日になれと。願いました。
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師匠へのお手紙にも書きましょう。
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