漆黒と銀と気狂い
2ページ/全2ページ


やってきた漆黒の来訪者の正体は、最強のヒットマン…リボーン。

血を流し、横たわっている獄寺隼人の最愛の人であった。


「んー、残念ながらこのパーティは招待状のない方はお断りしております」

「問題はないだろ。こういったイベントというものは少しくらいハプニングがあったぐらいが面白いからな」


リボーンの言葉に彼…内藤ロンシャンはなるほどと納得し、けらけらと笑った。


「あっはははは!確かに!おーけーおーけ。寛大なオレは無骨な来訪者も迎えましょう!!」


笑いながら内藤は懐から小型の銃を取り出し迷わず撃った。

内藤の銃のイングラムが火を噴き、あっという間に弾丸32弾を撃ち吐いた。

対するリボーンも先程撃ったベレッタ…愛用の銃の一つを構えて。内藤の攻撃を避けながら撃ち出す。


けたたましい銃声が響く。血の海の上で、死体の山の下で。行われるは狂ったダンス。

お互いの銃弾は誰にもどこにも当たらない。ただただ地に響いて。振動を辺りに震わせる。


「あははははははははは!このノーコン!あの生ける伝説の暗殺者がオレに弾一つ当てられないのかよ!!」


内藤の狂った笑いにもリボーンはいつもと何一つ変えずに、


「ああ。オレがお前を殺したら拗ねちまう奴がいるからな」

「あ?」


きょとん顔になる内藤。

拗ねる奴。果たして一体誰だろうか。

ここには自分と奴しかいない。他は死体。死体…死体?


…違う。


一人いるではないか。自分と奴以外に生きているものが。

そちらに目を向けると。


「―――よぉ」


いつの間に起きたのか、不敵に笑う影一つ。

無理に身を起こしたのだろうか、開かれた傷口から血が流れていた。

けれど獄寺はそんなことまるで気にしてない風に、


「…先にばてちまって悪かったなぁ。でも今度は大丈夫だ」


その手には、いつしか小さな小さなハンドガンが収められていて。


「躍れよ」


短い一言。

撃ち込まれる銃弾。

避けようとする内藤。

しかしそれを見越したリボーンの一撃。

内藤がそちらに気を取られる。

獄寺は笑って。


「オレから目を背けてリボーンさんと戯れか…?妬けるぜ」


そして響くは最後の銃声。

それは内藤に命中して…地に伏せた。

そして始まるは無音の時間。誰も何も動かない。

暫くして獄寺もまた地に倒れた。血は未だに流れてる。

リボーンが獄寺の所へと近付く。動かない内藤には目もくれなかった。

獄寺は荒い呼吸で傷口を押さえている。しかし押さえる手の平からも血は溢れ出ていた。


「あまり動くな。血がますます流れるぞ」

「…は、い。すいません、リボーンさん」


出てくる言葉にも力がない。ちょっとでも気を抜くと意識を失いそうだ。

…この状態のまま失神したら流石に不味いだろう。今度こそ死ぬかもしれない。

でもこの人に看取られていけるのならば。それもまたいいかもしれない。

なんてことを思いながら。獄寺は目を瞑ってしまう。

それからすぐに振って来た手の温もりに意識を預けて。


…次に目が覚めたときに見えるのは、

それはきっと白い病室と、白い包帯とそして―――

漆黒の影一つ。


++++++++++

3223キリリク「死にネタお題『飢え』の続きで手紙を見つけ獄寺を助ける話。でリボ獄で死ネタ以外」死にネタ以外なのでこれ実はロンシャン死んでません。

亜梨沙様へ捧げさせて頂きます。

リクエストありがとうございました。