彼が警察官になったあと
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次の日。


獄寺はまたあの部屋(どうやらリボーンの仕事部屋らしい)に呼ばれ来ていた。目の前には書類の束がまた置かれていた。どーんと。


「………」


獄寺は問題が悪化した。と頭を抱えた。

リボーンはといえば早くもソファに寝転がり寝息を立てている。仕事する気はゼロのようだ。

せざるを得ないのだろう、やはり。

獄寺は昨日の倍に増えた仕事に取り掛かった。

そして仕事の途中、思った。


(…もしかしてオレは今、かなり重要な情報を取り扱っているのではなかろうか)


元はといえばこれらは警察のトップである彼らが扱うべき仕事である。獄寺の手が震える。


「ん?なんだどうした?」


起きたのか、それとも最初から起きていたのか動きを止めた獄寺に気付いたリボーンが声掛ける。獄寺は泣きそうな顔でリボーンを見た。


「…リボーンさん…」


獄寺は事情を説明した。それを聞いたリボーンはあっけらかんと答えた。


「何だそんなことか」

「そんなことって…あ、もしかしてそんなに重要な情報じゃない…とかですか?」

「まあ、オレとかツナ以外が取り扱っちゃやばい情報だな」

「やっぱり!!」


獄寺は嘆いた。書類を持つ手をどうするべきか悩む。離したいのに言うことを聞いてくれない。


「大丈夫だ。そんなの建前で守る気ねえから」

「守ってください!」

「お前が黙ってりゃそれでいい」

「そういう問題でもないかと!」

「獄寺くん、やってくれてる?」


ツナが出来た分の書類を回収しにやってきた。やってないなんて微塵も思ってない口調。


「…ん?どうしたの?」

「こいつ機密情報を取り扱うのに尻込みしやがった」


機密情報って。


「何だそんなこと。大丈夫大丈夫」


そんなことって。


「そもそもお前はこんなことよりもっととんでもないことしてるだろうが」

「それは…その……」


その話題を出されると少し気不味い獄寺。どれぐらいとんでもないことかというと書類を処理する側から載る側に移行するぐらいである。

と、リボーンは何かを思い出したかのように手を叩く。


「ああ、そうだ獄寺。お前用の仕事だ」


言ってリボーンは一枚の書類を獄寺に渡す。獄寺は一瞥するとすぐに燃やして捨てた。