痕に残るは血と硝煙
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「口を動かす暇がありゃ手を動かして敵数を減らしな雲雀。そうでなきゃそこで伸びてる馬鹿を叩き起こせ。ていうかまだ起きないのか?」
「起きないね。気持ちよさそうに伸びてるよ。置いて行く?」
「そうしてぇのは山々だがそういう訳にもいかねぇだろ。戻ったら泣いて止めてくれって頼むまでラム酒を奢らせてやる」
つってもタイムリミットまでそう長くない。敵を片付けてちゃサツに捕まるし今から逃げたら山本を連れて行けない。
…っつったく、無駄に馬鹿でかい身体しやがって。
腹いせ紛れにその肉体を蹴りつける。―――はぁ、マジで反応ねぇよ。仕方ねぇ。
オレは懐から携帯を取り出して、登録されてる番号に素早く掛ける。
「なに。どこに連絡付けてるのさ」
「キャバッローネの駐留地帯。確か近くにあったはずだから保護してもらおうぜ。…あまり借りは作りたくねぇけどよ」
番号を押すと二コールで連絡が付いた。受話器を取ったのは……
『よう悪童。派手にぶっ放してるじゃねーか。音がここにまで響いてくるぜ』
「るせーよ跳ね馬野郎。ボス直々が電話に出れるほど暇なんだっつーなら仕事をくれてやるぜ?」
『んなワケねーだろーが。お前らがどんぱちやってるって聞いてフォローに回ってやってるんだよ。お前がこっちにテル寄越すってことはそれなりに不味い状態か?』
「ああ。山本が負傷した。車を一台寄越せ」
『山本…ああ、あのジャポネのガキか。へぇ、あいつがか。敵さんもやるじゃねぇか』
「馬鹿が油断しただけだ」
『手厳しいねぇ相変わらず』
そう言う間にも爆炎は響き銃弾は止まらず。そして町が赤く染まっていく。
「それで頼みは聞いてくれるのか跳ね馬野郎。こっちは時間がねぇんだよ返答は早くしろ」
『オーケィ悪童。なに、既にそっちに向かってる。オーライだ、もうお前らの姿見えてるしな』
「あん?」
後ろを振り向くとそこには確かに、キャバッローネで愛用されてる車と。そして見慣れた金髪の男の姿。
「ボス本人が出撃だぁ?やっぱり暇なんじゃねぇか」
『手厳しいねぇ。ま、そうかも知れねーけどな』
電話が切れる。すぐさま奴らが止まって手際よく山本を車の中へ運び込んだ。
「お前らも来い。少なかれ負傷してるだろ?積もる話もあるしよ」
オレはどうする?という雲雀に行けと顎をしゃくって。雲雀が乗った後にオレも続いた。
乗り込む隙を突いて生き残っていた馬鹿共がまた撃ち込んでくる。ああ、まだあんなにいたのか。
「…焦るなよベイビー。生き急いでもロクなことねぇぜ?」
特大サービスだ。片手で取り出せるだけの火薬を取り出して。火を点けて。投げた。
「アディオスだ。今ここで生き残ってもここまでなったら無事にはすまねぇだろうさ」
所属マフィアを抜ければ裏切り者として死。そうでなくとも近い未来にボンゴレに潰されることになる。
「ファッキンマリア様に祈っておきな。お前らが生きてる間に出来るのは精々がそれぐらいだ。あばよ。………エイメン?」
そう囁き終わると、血に濡れたスラム街に一際大きな汚い花火が咲き散った。
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さて、愛しのボス様の所に帰るぜお前ら!!
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