ある日のバレンタインデー
2ページ/全9ページ


園内では既に甘いチョコレートの香りで満たされていた。

それに気付いたリボーンちゃんが顔を上げる。


「?チョコレート?」

「ええ。今日はバレンタインですからね」

「バレンタイン?」


無垢な表情で、リボーンちゃんが風を見る。

まさか…と風が冷や汗を掻いた瞬間、


「なんだそれ?」


リボーンちゃんは笑顔でそう言い放った。

さよなら今年のバレンタインデー。

風は静かに心で涙を流した。

彼女からチョコレートは、恐らく貰えない。