微熱の夢
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隼人が倒れたらしい。

何でも不意にお姉さんを見てしまったとか。

なるほど、それは一大事だと私は急いで恋人である彼女のもとへと向かった。


ベッドの中で隼人がうなされている。

きっと過去の夢を見ているのだろう。…寝言でクッキーがどうのって言ってるし。

それにしても…眠っている隼人はなんか色っぽいな。

隼人の白い肌が発熱のせいか微かに朱を帯びていて…苦しんでいる隼人を見てこんな事を思うのは不謹慎だと思うけどうん。美味しそう。

思わず眠っている隼人の細い肩に手を掛けると、思ってた以上に汗をかいてて驚いた。

いたずらを仕掛けようとしている場合じゃないと正気に返った私は、お湯とタオルを取りに一旦退室した。あと代えの寝巻きも取りに。


眠る隼人の服を肌蹴させる。ほんのりピンクな裸体が現れた。

私はお湯で絞ったタオルを隼人の肌に滑らせる。そうして汗を拭っていく。


「んー…ん……?」


隼人が起きた。


「おはよう。隼人」

「おはようクローム……えーと…?」

「隼人ね、お姉さんを見て倒れたんだって。大丈夫?」

「姉貴…そっかオレ…いつっ」


そのときを思い出したのか顔を顰める隼人。苦しそう。


「大丈夫?」

「ああ…だいぶ落ち着いた…って―――」


あ。隼人が自分の格好に気付いた。


「…隼人最近成長してきてるよねー…」

「どこ見て言ってるんだよ!ていうか何事!?なんでオレ半裸!?」

「ん?私も脱ごうか?」

「それこそなんでだろ!?ていうか本当に脱ぐなーーー!」


…分かってますって。

ぽふっと、何故か目を瞑っている隼人に代えの服を被せて。


「…クローム?」

「まだ少しきついでしょ?それ着たらもう一眠り。ね?」

「んんー…うん」


と、何故か私を見上げてくる隼人。

私はにっこりと微笑んで、隼人の赤い唇にちゅっと口付け。


「続きは隼人が元気になってから。ね?」

「…うん」


あやすようにそう言うと、隼人は目蓋をゆっくりと降ろして。また眠りに着いた。

おやすみなさい。私の隼人。

私はもう一度隼人に口付けしてから、退室した。


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…それにしても可愛かったなあ、隼人。