分岐点
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「そして…10年の付き合いの奴らも…オレの部下も…」

「―――獄寺」


オレはなおも言葉を放つ獄寺に手を伸ばした。


「っ、リボーン、さん…?」


なんだ。ああまで言うからてっきり本当に幽霊か何かなのかと思ったが…ちゃんと触れるんだな。どんな論理なんだ?

オレの目では普通に見えるし、普通に触れるんだけどな。

獄寺は茫然とオレを見ている。

…どうした? こいつ。


「…獄寺?」

「え!? あ、あぁ…はい、リボーン、さん…」


こいつ…本当に大丈夫か?

全然大丈夫に見えない獄寺はやっぱり大丈夫じゃないらしく、今度は何故だか顔を俯かせて肩を震わせる。

…そんなにオレに触られたのが嫌だったのか?

そう思い手を離そうとすると、逆に掴まれる。…その手も震えていた。

…何がしたいんだ? こいつは…


「…すいません、リボーンさん…」

「ん?」

「まだ…もう少しだけ、このままでいて下さい…」


二年振り、なんです。と小さく呟かれる。

何が、なんて言われるまでもなかった。

こいつが言ってることが正しいのなら、人と会話するのはもちろん…こうして誰かと触れ合うことも二年振りだろう。

……………。


暫くして、獄寺は自分から離れていった。