分岐点
8ページ/全13ページ
「そして…10年の付き合いの奴らも…オレの部下も…」
「―――獄寺」
オレはなおも言葉を放つ獄寺に手を伸ばした。
「っ、リボーン、さん…?」
なんだ。ああまで言うからてっきり本当に幽霊か何かなのかと思ったが…ちゃんと触れるんだな。どんな論理なんだ?
オレの目では普通に見えるし、普通に触れるんだけどな。
獄寺は茫然とオレを見ている。
…どうした? こいつ。
「…獄寺?」
「え!? あ、あぁ…はい、リボーン、さん…」
こいつ…本当に大丈夫か?
全然大丈夫に見えない獄寺はやっぱり大丈夫じゃないらしく、今度は何故だか顔を俯かせて肩を震わせる。
…そんなにオレに触られたのが嫌だったのか?
そう思い手を離そうとすると、逆に掴まれる。…その手も震えていた。
…何がしたいんだ? こいつは…
「…すいません、リボーンさん…」
「ん?」
「まだ…もう少しだけ、このままでいて下さい…」
二年振り、なんです。と小さく呟かれる。
何が、なんて言われるまでもなかった。
こいつが言ってることが正しいのなら、人と会話するのはもちろん…こうして誰かと触れ合うことも二年振りだろう。
……………。
暫くして、獄寺は自分から離れていった。
次
前
戻