分岐点
13ページ/全13ページ
ツナは今日もどこかへ向かっていたから、てっきり獄寺の下かと思ったが…それでもなさそうだ。
獄寺はもう…いない。
「リボーンさん?」
「やべぇ。幻聴が聞こえるぞ。どうしたもんか」
「…そういうことはせめて胸のうちで言ってほしいっていうか…と言いますか幻聴ではないです」
………はぁ。
「なんだ。生きていたのか。獄寺」
「はい。…生き長らえてしまいました」
振り向けば、そこには車椅子に座っている獄寺。
…身体は痩せすぎているが、それでも最後に…病室で見たときと比べれば遥かに肉が付いている。
「と言いますか…二年振りにお会いしたというのに、開口一番が幻聴なんて…酷いです」
「二年振り?」
「そうですよ。…え? もしかしてそれ以上経ってます? あれ…オレ、リボーンさんが長期の任務に出る前…見送りしたはずなんですけど」
「いや、そうじゃなくて…」
「はい?」
「………」
こいつ。…何も覚えてないのか。
「…いい。じゃあな獄寺。オレはもう行く」
「え………あ、はい、リボーンさん…」
「………」
そこでそんな、残念そうな顔されても困るんだが…
「…今日は忙しいんだ。そのうち、時間作って見舞いに行ってやるから」
「あ……は、はい! ありがとうございますリボーンさん!!」
…なんでこいつはこれだけのことでそんな嬉しがるんだ。
やれやれとため息を吐きながらオレと獄寺はそこで別れた。
フロアを出る前に一度だけ振り返ると、そこにはやっぱり獄寺がいて。満面の笑みで手を振り返してきた。
やっぱりあいつ。子供だな。
++++++++++
何があんなに嬉しいんだか。
前
戻