分岐点
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そしてその日の夜。

オレは仕事の報告の為、ツナの執務室へと訪れた。


「…ああ、リボーン…待ってて、もう少しでこっちも片付くから」

「それは構わないが…」


目の前にいるツナはいつも通りだ。

―――二年前、獄寺が倒れたとき。

理由が理由だったからか、こいつの取り乱しようといったらなかったらしい。

…といってもそのときオレはボンゴレから離れていて、実際目にしたわけではないのだが。


「…ん? なにリボーン。なんか用?」

「いや…」


…こいつが何も知らない。ということは流石にないだろうが…

だけどこいつ、獄寺が目覚めたと知ったら仕事なんて放り投げて飛び込みそうな気が…


「…ツナ」

「ん?」

「……今日、獄寺と会ったぞ」


ツナは少しだけ驚いたように目を丸めて…オレを見た。

けれど。


「へぇ。リボーンが? 珍しいね」


ツナの声にも態度にも動揺は見れず。それどころか、


「オレも会ったよ」


などと笑顔で返された。

なんだ。あいつ結構前から起きてたんだな。


「今日は元気な方だったね」

「そうなのか。…ま、確かに元気そうだったな」


言いながらオレは昼間会った獄寺を思い出す。

どこかぼんやりしていたが、それでも寝たきりだったという状態から考えれば大分回復したのだろう。


「それにしても…まさかリボーンから獄寺くんの話題が出るなんてね。びっくりした」

「そうか?」

「だってリボーンから獄寺くんの話をしだしたことなんて、今の今まで一度たりともなかったでしょ」


…そこまで言うか。

流石のオレもそこまでは………。

……………。


…なかったかもな。


「どうしたの?」

「なんでもねぇ…」


…今度獄寺を見かけたとき、時間があったら話しかけてやるか…


そう思っていた次の日。

昨日と同じ場所で、獄寺を見つけた。