分岐点
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「…どういうことだ? これは」

「………」


静かに問い掛けるも、獄寺は黙ったままだ。無言でツナの去って行った方向を見ている。


「…獄寺。オレの質問に答えろ」


獄寺はそれでも暫くは黙ったままだった。

だが、やがて…獄寺は目線をそのままに、静かに口を開いた。

言葉を捜すように、ゆっくりと。



「―――あの、ですね。リボーンさん」

「…オレ、気付いたらここにいたんです」

「どうしてここにいたのか。ここにいる前はどこにいたのか。何も思い出せませんでした」

「でも、不思議とそのことに不審も不安も持ちませんでした。自然に受け入れられました」

「ずっといました。ずっとずっと、オレは"ここ"にいました」

「そしたら、ある日………」

「オレの目の前を、シャマルが通りました」


   シャマル?


オレはシャマルに声を掛けました。

だけれどシャマルは、オレの方など見向きもせずに気付きもせずに歩いていきました。

…最初は、忙しいんだろうと。そう思いました。それでオレに気付かなかったんだと。

だけど、それから暫くして…

今度は姉貴が訪れました。

オレは身構えました。


…けど。


姉貴は、オレの目の前を…素通りしました。

ほんの、数センチ前を素通りしました。

姉貴はオレの存在に…気付きませんでした。



1.傍観する

2.「……………」