獄寺くんの非・日常
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―――オレが日本を離れ、イタリアに戻ってきてから…もう随分になる。

オレは今、ボンゴレの医療施設の一室で車椅子生活をしていた。

ボンゴレの任務途中に別件の抗争に巻き込まれ、思わぬ怪我をしたからだ。

一時は本当に危うかったらしいが、山場は越えた。

一刻も早く10代目の所まで戻りたいのだが、完治するまでは日本への帰国許可は下りないらしい。

まぁ確かに、両足を骨折していて歩くことも出来ず、利き腕もまだ使い物にならない。

こんな状態じゃあ10代目をお守りすることも出来ないだろうしと、言われた通り休養しているのだが。

それでもやはりというか、流石に月別カレンダーが捲られる頃になると帰りたいというか、10代目が、日本にいるあいつらが恋しくもなる。


―――それを、見透かされていたのだろうか。


「よぉ。スモーキン」

「ん?跳ね馬?こんな所に何のようだ?」

「…ご挨拶だな。わざわざツナたちからの手紙を持ってきたっていうのに」

「!10代目から!?寄越せ!!」


オレは笑いをかみ殺しながら「はいはい」なんてガキ扱いする跳ね馬を尻目に、慣れない腕で手紙を受け取る。

手紙は一人ひとりが書いたのだろうか。封筒がいくつもあって。

見慣れた文字が沢山あって。懐かしい字が沢山あって。

オレは不覚にも、涙ぐんで。


「おいおい、お前涙腺緩くねぇ?」

「うるせぇよ!!」


茶々を入れる跳ね馬を怒鳴りながら、オレは一通目の封筒を開けた。


++++++++++

ああ、オレなんかのために…