獄寺くんの非・日常
1ページ/全5ページ
―――オレが日本を離れ、イタリアに戻ってきてから…もう随分になる。
オレは今、ボンゴレの医療施設の一室で車椅子生活をしていた。
ボンゴレの任務途中に別件の抗争に巻き込まれ、思わぬ怪我をしたからだ。
一時は本当に危うかったらしいが、山場は越えた。
一刻も早く10代目の所まで戻りたいのだが、完治するまでは日本への帰国許可は下りないらしい。
まぁ確かに、両足を骨折していて歩くことも出来ず、利き腕もまだ使い物にならない。
こんな状態じゃあ10代目をお守りすることも出来ないだろうしと、言われた通り休養しているのだが。
それでもやはりというか、流石に月別カレンダーが捲られる頃になると帰りたいというか、10代目が、日本にいるあいつらが恋しくもなる。
―――それを、見透かされていたのだろうか。
「よぉ。スモーキン」
「ん?跳ね馬?こんな所に何のようだ?」
「…ご挨拶だな。わざわざツナたちからの手紙を持ってきたっていうのに」
「!10代目から!?寄越せ!!」
オレは笑いをかみ殺しながら「はいはい」なんてガキ扱いする跳ね馬を尻目に、慣れない腕で手紙を受け取る。
手紙は一人ひとりが書いたのだろうか。封筒がいくつもあって。
見慣れた文字が沢山あって。懐かしい字が沢山あって。
オレは不覚にも、涙ぐんで。
「おいおい、お前涙腺緩くねぇ?」
「うるせぇよ!!」
茶々を入れる跳ね馬を怒鳴りながら、オレは一通目の封筒を開けた。
++++++++++
ああ、オレなんかのために…
次
戻