ある日の並盛 夢編
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「――獄寺くん!!」

「は、はい!起きてます、起きてます!!」


慌ててそう返事を返すも。次の瞬間にはもう目蓋が重くて。

とうとう、獄寺は倒れてしまった。


「ご、獄寺くんっ!?」

「10代目…どうやらオレは、ここまでのようです……」

「そんな!寝ちゃ駄目だ、獄寺くん!!」

「10代目、オレは、貴方と逢えて。……よかっ」

「獄寺くん寝るな!寝たら死ぬんだぞー!!」

「………」

「そんな、そんな…ご、っ獄寺くーん!!!」

「うるせぇぞ」



パンッ



「「うわわわわわわわっ!!」」


三流雪山ドラマが慎ましやかに行われたあと。二人はリボーンに銃弾の洗礼を浴びた。


「ったく。一応最初から聞いていたがツナ。お前そんなに獄寺を寝かしたくないのか?」

「え…うん」


リボーンの楽しそうな物言いに、ツナはなんとなく嫌な予感を察したが、頷いた。

リボーンはそうかと返事代わりにまた銃を構える。


「喜べ獄寺。お前の為に特別授業をしてやるぞ。今からオレはお前を撃つ。期限は朝まで」

「はぁ―――って、えっ!?」


驚く獄寺を尻目にリボーンの説明は続く。見事なまでの傍若無人っぷりだった。


「いつ、どこから撃つのかは教えない。オレは隠れているから、自分で勝手に見つけるんだな」


そう言うと、リボーンは急に姿を消した。今まで目の前にいたのに。もうどこにもいなかった。


「………っ」


さぁっと、獄寺の顔色が変わる。現在の状況を把握したようだ。


「リ、リボーンさん!オレもう目、覚めましたから!だから…」



―――パァンッ



獄寺の頬を、銃弾が掠る。もう始まっているのだ。特別授業は。


「―――――!!!」


口で言っても何の効果もないと察した獄寺は、素早く部屋から離脱した。


「ご、獄寺くん…っ」


心配そうにツナが獄寺を見る。獄寺は笑って…


「10代目…明日、何でオレが寝ちゃいけなかったのか。教えて下さいね…」


そう言っては、暗闇の向こうへと消えた。暫くして時折聞こえてくる銃声。

ツナは明日の朝獄寺に逢えるかどうかももちろん心配したが、それよりも明日の朝。彼に逢った時に真実を伝えられるかどうかの方が切実な問題だった。


「…まさか、獄寺くんがうちに遊びに来て。寝たらずっと起きない夢を見ただけなんて…」


言えないと、ツナはがっくりとうな垂れた。


++++++++++

常に生死ぎりぎりな獄寺くん。