黒曜中の日常 楽屋裏編
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「うぐー…」
「気付いたか、犬」
「んあ…あぁ、柿ピーもやられたんだ…」
「有無を言わせずな…凄まじかった…」
「そりゃ、好きな子の前だと良いところの一つでも見せたいんじゃん?」
「…そうか、やっぱりあの二人はそんな関係なのか…」
「んにゃ。それは違うっぽい」
「…?どういう事だ?」
「あいつ喧嘩ランキングは三位でも、アイドルランキングは一位だったから」
「そうなのか…まぁ、あれほどの容姿だとな」
「外見もさることながら、天然な性格で男女問わずのアイドルだそうだ」
「――天然。萌えだな」
「柿ピー?戻ってこーい?」
「…ああ、するとそうか、まだオレにもチャンスはあるか」
「オレにもな」
「お前には負けん。というか犬。お前よくもこれからって時に邪魔してくれたな」
「ああ、柿ピーの視線が痛いよ。人間変わる時は変わるんだな…」
「そもそもお前さえ来なければ今頃…」
(あーもしもしすみません、千種、犬)
「あれ?骸さんの声だ」
(少しばかりピンチなので、お二人の身体憑依させて下さいませんかね)
「すいません少し待って下さい。今犬と大事な話してるんです」
(おや千種が反論するとは珍しいですね…もしかして、あの三位くんの事ですか?)
「そーなんですよ骸さん。柿ピーったらあの三位にべた惚れで」
(うーん、困りましたねー…実はですね、僕も彼のこと気に入っちゃいまして)
・・・。
「「――はいっ!?」」
(いやー、あの色気、たまりませんねー。あ、僕結構本気ですよ?)
「ちょっと待って下さい!駄目ですよ骸さん!!」
「オレだって本気なんです。一度で良い、チャンスを下さい!」
(そうですか?そこまで言うのでしたら…そうだ。ではお二人、今から走ってここまで来て下さい)
「「……はい?」」
(先に来た方にチャンスを与えます。ではスタート!)
「いえ、オレたちけっこーぼろぼろで…骸さんが憑依してくれないんですか?」
(お二人の決意を試させてもらいます。あ、あまりにも遅かったら二人とも失格です。彼は僕の物ということで)
「「―――!!」」
―――ダッ
その日。
彼らは世界記録を更新した。
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愛があれば何でも出来る!!
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