生き帰った獄寺くん 起死回生編
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…そうだ。そいうえばここはどこだろうか。

今オレがいるのは、一人部屋にしては広い。そして病的なまでに清潔感溢れる――個室。

ぎちぎち言う身体を無視して、身を起こすと。これまた白いカーテンが閉められた窓が丁度あって。

シャーっと。思ったよりも重いカーテンを引く。―――空が高くて。地が遠かった。

鍵を開けて。開いてみる。…冷たい風が勢い良く入ってきた。

―――ここから飛び降りたら。楽になれるだろうか。

こんな身体で、みんなに迷惑を掛けるぐらいなら。いっその事…

手を。窓の縁に置こうとしたけど。上手く力が入らずに外側まで滑ってしまった。

――と。何かに触れる。何かふさふさした、細い…


「…って、へ?」


ぴょこっと。何かが重力を逆らって這い上がってきて。


「――よ!獄寺!もう起きても大丈夫なのか!?」

「ひ!?」


トンッ


「あ」

「あ」


あ―――――…


……………。

なななななんだなんだ今のはー!?いや落ち着けオレとにかくまずは落ち着けオレー!!

い、今の山本!?山本だよな!?山本が窓から、窓の下から這い上がって来た!?

いや待て待て待て待て!そんな、そんなことってないよな!?だってここ地上云10階だぜどう少なめに見ても!!

やべーオレそんなとこから突き落としちまった!や、だって色々付いていけなくて驚いてさ!物理的に何か無視してただろあいつ!!

いや待て!それって理論的にありえるか!?現実的に考えて起こり得ることか!?な、ないよな!ないない!!

そうそう現実的に行こうぜオレ!今のはきっと悪い夢だって!幻だって白昼夢だって!!ていうかそうであってくれ!!

ああ、そうだとも夢夢。…ああびっくりした。

でも一応窓は鍵掛けてカーテンも閉めておこう。うん。

あと飛び降りは止めておこう。だって窓開けたくないもん。

…何だか、この数分だけで異様に疲れたな…

………寝よ。


++++++++++

寝たらきっと、全てが解決するさ。