生き帰った獄寺くん 起死回生編
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「そこまでですよクフフフフ」

「…骸」

「…何の用なのかな」


明るい骸の声に対し、まるで対極のように冷たい雲雀の声。


「おや。冷たい言われようですね。隼人くんが心配で心配でたまらなくて飛んで来たに決まっているじゃないですか」

「なら。もう用は済んだんじゃない?とっとと消えれば?」


冷たい声。黒い感情。鋭い目。襲い掛かってくるような――…殺気。


「――っ」


ぐらり。世界が倒れる。


「隼人!?」

「おやおや。いけませんねぇ雲雀くん。殺気が抑えられないのなら出て行かれてはどうです?隼人くんが苦しんでます」

「―――――…隼人に手を出したら…何遍だって。殺してあげるからね」


潰されそうなまでの大きな殺気を最後に出して。雲雀は部屋を後にした。


「…健気ですねぇ。殺気が抑えきれないものですから自分から身を引きましたよ。隼人くんの為に」


そうなるようにけしかけたくせに。


「…でも。隼人くん。貴方は馬鹿なことは考えない方がいい。貴方は自分が思っている以上に周りに愛されていますからね」


そんな、こと…


「信じられないという顔ですか?…まぁ、それも貴方の魅力の一つなんですけどね」


ギシッ

骸がシーツの上まで乗っかってくる。ベッドが軋んで身体が沈む。背中が痛い。


「貴方はもっともっとご自分を大事にした方が良い。でないととんでもない事になります。…周りが、ね」

「ん…っ」


骸の指がオレの首筋を張っていく。くすぐったくて思わず声が漏れて。


―――ガラッ


ドアが開く。

見るとそこには…じ、10代目…?

すたすた。10代目が歩いて来る。

―――オレの方を見ないで。カーテンを開き窓を開放する。


ひょい。


骸を、掴んで…


ぽい。


―――捨てた。


「ってぇえええぇぇぇええ!?」


なんか今仰天映像を見てしまった気がしますよ!?

ちょ、なんですか今の流れるような一連の作業は!!


「嗚呼獄寺くん!ごめんね!オレが至らなかったせいで!!!」


10代目は10代目でなんか今までの事をなかったかのように振舞ってくるし!!


「獄寺くん…ホントごめんっもうありとあらゆる責任は全てオレが持つから!」

「え、いやそんな!オレなんかの為にそこまでして下さらなくとも結構ですから!!」


ていうか10代目!何でそんなに怖い眼してるんですか!

―――っ!?


「――ゴホ、ゲホッ」

「ご、獄寺くん!獄寺くん!?」


心配する10代目の声。オレの咳は止まらない。


「どうしよ、血が…ちょっと待ってて!」


医者を呼びにか10代目は部屋を出る。オレの咳は止まらない。

オレの手には、大量の赤い塊が花咲いていた。

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10代目、大丈夫です。ちょっと驚いただけですから。