マフィア戦隊ボンゴレンジャー 序章
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「…リボーンの奴、一体どこで何をしているのか…」

「全く。居たら居たで厄介なのに。居ないなら居ないで気味が悪いね」

「酷い言いようですが賛成です…まぁ僕は獄寺氏が居ればそれで良いんですが」

「………」

「…どうしたの獄寺くん。さっきから黙ってるけど…」

「な…なんでもないです…」


ボンゴレンジャーは並盛のパトロールを兼ねての司令探しをしていた。

…突如ボンゴレ基地から姿を消した司令官。

今までこんなことは一度たりともなかった。そもそも、司令がボンゴレ基地内に居ないこと自体が稀なのだ。


「まぁヴァリアーを倒したから別段する事無いんだけどね…もしかしてボンゴレンジャーはこのまま解散とか?」

「そんな!」

「仮にそうだとしても、何の挨拶のないままそうなるのは礼儀がなってないよ。彼らしくない」

「そう…だよな…」

「でも…本当どこ行っちゃったんだろうね…リボーン」

「………」


ボンゴレブルーは落ち込んでいた。

みんなの知らないことを、自分は知っている。

昨日の夜…何かが起こっていた。

バジルという未知なる少年。自分の知らない司令の一面。

そういえばバジルは司令になんて言っていただろうか。

…確か…親方様の命に従いと。そして…司令を連れ戻しにと。

…連れ戻す?どういうことだろうか。

そういえば司令もバジルを知っているようだった。知り合い…にしては司令の態度は…

ぐるぐると考え出したボンゴレブルー。訳が分からないことばかりだ。

…と、ボンゴレブルーが視線を感じふと顔を上げると…


ざわ…っ


怖気が走るのが分かった。

ボンゴレブルーが顔を上げた先には…丁度今考えていた相手。

バジルが…あの笑みを浮かべながら、こちらを見ていた。

「あ…」

一歩、前に出る。それと同時にバジルは人混みに紛れる。


「―――待て!」

「獄寺くん!?」


ボンゴレブルーはバジルを追い走り出す。そのボンゴレブルーを追って他のメンバーも。

バジルを追うのは正直言って怖かった。

あの笑みが忘れなれない。あの…獲物を狙う蛇のような笑みが。

けれど、他に司令を探せる手掛かりがないのもまた確かで。

ボンゴレブルーはひたすらバジルを追って走っていった。


どれほどの距離を走っただろうか。

ボンゴレブルーはバジルを見失い肩で息をしてしまう。その場で倒れてしまいそうだ。

「ご、ごく、でらくん…はぁ、一体…どうしたの…?」

しばらくしてから他のメンバーも追いついた。けれどその間にボンゴレブルーは何とか息を整えバジルの消えた向こうへと行こうとしている。

「ちょっと…その向こうに一体何があるってのさ」

「わかんね…でも、行かないと…」

その向こうに何もなくてもいい。ただ確認を取りたかった。何があるとは思ってなかった。そこまで思う余裕はなかった。

…なのに。


「―――――なんでお前がここにいるんだ?」


そこにいたのは漆黒の影。それは紛れもなく今まで捜し求めていた姿。

「リボーンさん…!」

「え…?あ、リボーン!こんな所で何してんだよ!」

「キミこんな所にいたの。…全く手間取らせて。どこか出掛けるなら事前に連絡しておきなよね」

「…賛成。リボーンが居なくなるだけでこんなに歩きまわされるなんて嫌ですよ僕」


次々と現れる影。それは仲間。


「…さぁ、リボーンさん帰りましょう」

手を伸ばすボンゴレブルー。しかし司令が返すは冷たい目。

「…リボーンさん?」


「オレはもう戻らない」


「え…」

司令の口から出てきたのは、まさかの否定の言葉。

「悪いな。こっちの方で予定の変更があったんだ。…オレは今からお前らの敵だ」

「…何を…」

「…そうだな。オレがお前らの上司として言えるのはこれだけだ」

そう言うと司令はボンゴレンジャーに向き直り…


「ボンゴレンジャー司令最後の命だ。…オレを討ってみろ」


司令がそう言うと、突風。

思わずボンゴレンジャーは目を瞑ってしまい、そして目を開けた先には…司令の姿はどこにもいなかった。


++++++++++

涼宮バジルの消失。